科研費 挑戦的研究(萌芽) に採択いただきました
2024年6月~2027年3月を期間として、科研費 挑戦的研究(萌芽)をいただけることになりました。
研究課題名は「超放射相転移による熱平衡下の量子スクイージングの検出」です(研究課題 24K21526)。栗原貴之さん、内田健人さんと共同で研究します。3年間で研究費490万円を助成いただきます。
約50年前に予言された超放射相転移とよばれる現象が、私たちの最近の研究でようやく観測できるようになってきました(本来予言されたものとは少し異なるものだったりしますが)。
超放射相転移が起こる際に、量子スクイージングという量子ゆらぎの圧縮が起こることも理論的に見いだしてきました。
典型的なの量子スクイージングはデコヒーレンス(ノイズ)で減退してしまうという問題を抱えています。一方、超放射相転移で得られる量子スクイージングは系の最も安定な状態(基底状態)で得られ、デコヒーレンスなどでは減退せず、安定に存在し続けます。もちろん、これをどのように活用するのかは新たに検討していかなければなりませんが、この量子スクイージングは根本的に安定な量子科学技術の基盤になると考えてます。
現在、私たちは京都大学とアメリカ Rice 大学で、量子ゆらぎを測定可能なほど超高感度かつ超高速なゆらぎ測定装置の構築を進めています。それと並行して、本研究課題では磁性体 ErFeO3 中の量子ゆらぎに最適なプローブ法を理論・実験の両面から明らかにすることで、超放射相転移による熱平衡下の量子スクイージングの世界初検出を試みます。