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自業自得と因果応報

「みんなが入れ替わり訪ねて来てくれてうれしい!」義兄の言葉


自業自得とは「自分のしたことの過去の主に悪いことの報いを自分が受けること」。因果応報とは「自分がした過去の善悪の行為の報いを自分が受けること」と辞書にはあります。
先日87歳の義兄が脳梗塞や骨折などいろいろ重なって6か月の間に7回の入退院を繰り返しました。
「少し元気がないから」と姉からの電話に大急ぎで飛んで行った。今は病院も15分の面会ができ義兄と話をしてきた。少し元気を取り戻していて、その時、私に「みんなが入れ替わり訪ねて来てくれてうれしい!」と言ってた。

私たちは

4人姉妹で、長女の夫である義兄が養子

となり家を継いでくれていた。そんな兄はとても私たちに良くしてくれて怒った顔を見たことがない。

そんな兄が昔話してくれたことを思い出していた。
「お義父さんに本当に良くしてもらった。」「仕事で困った時も助けてもらったし恩人だ」とまで言っていた。

私たち姉妹の

父は明治生まれ高等尋常小学校

しか出ていない人であった。
最初は酒屋の丁稚奉公をしていたらしい。
ところがこれではいつまでたっても「うだつ」が上がらないと、思い切って鉄道会社の切符切りになった。
その鉄道の駅で毎朝みんなより1時間早く出勤してトイレ掃除をしていたという。お客さんにきれいなトイレを使ってもらいたいという思いがあったという。
そして何年か後、その駅の駅長に抜擢されたという。
その先の詳しいことは定かではないが私が知ってる父はその系列のオンボロバス会社の社長になって、見事立派なバス会社に立て直し、観光会社まで設立したのであった。その頃のことを思い起こすと、いつも運転手付きの車での往復には、お年寄りを拾っては乗せてあげたり、家まで送ったりしていた。よく家にお年寄りが訪ねてお菓子などが届いたことも記憶にある。

そんなころ、義兄も日頃から父のゴルフの送り迎えや私たちの送り迎えなどもしてくれていて、我が家にはとても必要な人となっていた。それにとても静かな人でした。

ところが父が亡くなった葬儀の時、1000人以上の会葬者が田舎に来てくださってその時の兄の立派なご挨拶になんともびっくりした親族一同でした。「能ある鷹は爪を隠す」とも言いますが、頼りになる義兄でした。
そんな義兄の入院生活なので家族親戚みんなが毎日訪れるのも不思議ではないと思ったのです。

そして同居をしている長男夫婦の嫁は病院の事務勤めをしているのですが、兄が喜んでいた話をしたらこんなことを話してくれました。「退院しても帰る場所がない人や、いつも疎まれて帰りたくないといってる人、昔は地位のあった人が今も威張って横暴にふるまって嫌われてる人とか、いろんな人が病院にはみえるんですよ。

それをみて自業自得なんですよ 

と言ってる人もいます。そのこと考えるとお義父さんは、みんなに好かれてましたからね~」と。なるほどお嫁さんまでこう話してくれるお義兄さんはやっぱり大したもんだと思いました。姉もほっとして元気な様子でしたので、私たち一同も帰路につきました。
この日こそ

自業自得、因果応報

という言葉を考えさせられた日はありませんでした。


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