イケてない事例動画には共通点がある?
仕事柄、しょっちゅう動画を見ます。
CMも見るし、製品プロモーションやイベント動画、時には映画のトレーラーや音楽PVも。
特に意識して見ているのが導入事例動画です。
もしかしたら、日本で最も事例動画を見ているひとりかも知れません。
時々、「よくできてるなぁ」とか「これはやられた!」と思う
秀作事例動画に出会えます。
が、残念ながらその比率は、かなり減ってきているような気がします。
逆に、イケてない事例動画が増殖してきているように思うのです。
「独りよがり」が事例動画を殺す
私は事例動画を作る際に注意していることがあります。
それは、「A社の製品はいい、A社のソリューションは効果的だ」と、
自社の製品やサービスのことだけをお客様に語らせる、独りよがりの動画
にならないようにすることです。
もちろん導入事例だからお客様に語っていただく、褒めていただくのですが
そのお客様の姿が全く見えてこない事例動画が結構多い。
つまり「お客様のケース」になっていない事例動画です。
独りよがり事例動画は、語ってくださるお客様の社名を変えても同じ。
つまり、「いい」「効果的だ」が説得力を持って迫ってこない。
事例動画で一番大切なのは説得力ですから、これは致命的です。
だから、オフィスワークのBロール(イメージ・インサートカット)が
多少カッコよく編集され挿入されても、ちっとも記憶に残らない。
「で、なんの会社が褒めてたんだっけ?」。
コンテンツ・マーケティングとして、導入事例を活用するケースが増えてきています。
この施策で十分な効果を得るためにも、きちんと「お客様のケース」になった事例動画にすることはとても重要です。
なぜなら、独りよがりな事例動画は、数が増えるほど見る気を失せさせるから。
私はこれをコンテンツ・マーケティングのジレンマと呼んでいます。
お客様の姿が見えない、お客様のケースになっていない事例動画は、
極論すればどれを見ても同じ。
それでは映像が持つ価値を発揮できない…もったいないな、と思います。
「輝かせる」存在であること
ではイケてる導入事例動画、つまりお客様の推奨に説得力があり、
なおかつ印象に残る事例動画にするにはどこに気を配ればいいのか。
私は、「お客様のブランディング動画を作るつもりで」というお話をします。
導入されたお客様はどんな企業なのか、どんな理念やポリシーで、
どんな領域で事業事業を進め、いかに顧客の支持を集めているのかを、
先ずきちんと描くことをクライアントのご担当者に提案しています。
例えて言えば、完成尺のうちの3分の一を、導入先のお客様を描くことに割く。
その上で、プロモーションする自社製品・サービスがどう活用され
そのことで、いかにそのお客様を「もっと素敵な存在」に変えたのか…。
まず「魅力あるお客様」という前提があってこそ
お客様の口で語られる推奨の言葉が、力を持って迫ってくるとご説明します。
事例動画の本来の力
B2Bの領域でビジネスをする企業で、導入事例動画をマーケティング施策に取り入れる例が目に見えて増えてきています。
あるスタートアップのアクセラレーターも、「B2Bビジネスでは導入事例がマーケティング施策の肝。動画制作は必須」とし、導入事例に関するハンズオンセミナーに多くの時間を割いているそうです。
競合製品を比較する際に、先ず導入事例を参照する、事例動画のお客様の声を参考にして購入候補を絞り込むという、そんな顧客が増えてきているというのです。
だからこそ、独りよがりの導入事例動画ではいけない。
“素敵な”お客様の言葉で、説得力を持って推奨いただく導入事例動画にするべきだと、日本で最も事例動画を見ているひとりとして思うのです。
(記事:ホンマヨシカズ /producer)
※この記事は加筆修正し、再度掲載しています。
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