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詩 光

光になりたかった
あなたみたいに

悲しみを湛えたこころが
今日の朝日できらきらしては
あなたの指先を通って
或いは
あなたの喉先を通って
わたしを照らすみたいに

たんと悲しんで
たんと苦しんで
流した涙をしまっておいて
とびきり綺麗な宝石を
こころのなかに飼ってしまう
あなたみたいに

わたしの涙はいつも
まばたき一つで
嘘になってしまいます
他人なのです
悲しみも
苦しみも
わたしではないのです

傷一つ、痛み一つも背負わずに
ただ在るだけの
そんないのちがあって
あなたのことを
あの子のことを
あの人のことを
羨んでいるだけで
いつか光れたら
あの悲しみが
わたしのものになったなら
そう祈ってばかりいます

光になりたい
あなたみたいに

痛みをこの手の中に置いて
綺麗ないのちになりたい
あなたみたいに

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