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『転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す』感想

現在発売中の書籍6巻まで読みました。知人からの推薦図書です。
タイトルのとおり、前世で強大な癒しの魔法を操った大聖女が、その力を受け継いだ主人公に転生しますが、そのことが敵に露見するのを恐れて力を隠すというファンタジーコメディです。

大聖女であることを隠そう隠そうと言いつつ、全然隠せてないやんけ!! ……みたいな展開を楽しむコミカルな作品。読み口が軽くてするすると読める楽しい作品だと思います。

ただ、私は作中、主人公フィーアを取り巻く多くの人々が彼女を崇拝し、崇め奉る光景には、終始疑問を感じていました。
作品内にて、主人公フィーアは聖女という存在について

「祀り上げて、女神にでもするおつもりですか? ふふふ、違いますよ」

と、聖女信仰に対しては否定的な意見を表明しています。それにも関わらず、フィーアに触れるととにかく彼女の崇拝者が増えていく現在の状況は、それとは真逆に感じました。

フィーアがそのことに持前の鈍感さでもって気づかないというのもひとつのコミカルなポイントだと思うのですが、私は彼女の隣で同じものを見てくれる人って本当にいないんだなと、なんだか悲しくなってしまいました。300年前の彼女の前世の話が挿入されるときも、彼女は大聖女として崇め奉られており、その光景を目にするたび残念な思いになるばかりでした。

いずれ作品内でその状況が打開される日が来るのかもしれませんが、話の進行速度がそこまで早くないため時間がかかりそう。

そういう意味では、作品内の「フィーア崇め奉りパート」が始まると読者として私は非常に疲れてしまうので、ツッコミ役としてザビリアがそばについていてくれたほうが比較的バランスが取れているように思いました。ザビリア可愛いです。
300年前でいうと、シリウスとのやりとりにはあたたかみを感じました。シリウスがセラフィーナを喪ったことは本当に気の毒ですが、いつか彼らがまた会えるといいなと思いました。


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