雪像[詩]
ものをつくると壊せなくなってしまうことがある。わたしたちはそれを繰り返して川のそばに街をつくった。だから街はそのうちに故人への灰色の感情で溢れかえってしまう。住人たちは漠然とそのことを知っていて、いつか来るその静かな時代を恐れている。やがて春がその巨大な足で崩しに来てくれるだろうから、雪像をつくることにした。神さまがどういうつもりなのかは知らない。つくることは祈りの双胎だったらしい。わたしたちは安易に祈り、いつか溶けることを知りながら眠ることができる。
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