見出し画像

【雑記】区会費の集金苦悩話

班長としての業務である「区会費の徴収」。先日は、区の総務補佐へ集めたお金をお渡しし、無事に業務を終了することができました。いやーよかったよかった。

恐らく班長業務で1、2位を争うエグい業務であります、この集金業務。なにせ前任者が「これが一番めんどくさいんだよイッヒッヒ」と嬉々として次期班長であるワタクシに話すわけでございますので、それはもう様々な人間模様に溢れた業務となることは想像に難くないわけであります。あと前任者はもうちょっと自我を抑制したほうがいいと思う。気持ちはメチャわかるけど。

で、案の定まぁまぁ苦労もしましたので、ここにはちょっと健忘録として殴り書きをしておきたいと思います。


・準備

とはいえね、私の今まで経験してきた実際の仕事を踏まえれば大体どういったトラブルが発生するかというのは想像できたので、ほぼタダ働き同然に近い業務ではありますがしっかりと準備を進めて今回の集金に臨みました。

そう、集金業務というのはいわば合戦のようなものであります。漫画ドリフターズの織田信長も

合戦そのものはそれまで積んだ事の帰結よ
合戦に到るまで何をするかが俺は戦だと思っとる

漫画:ドリフターズ2巻より

と話すくらいですからね。段取り八分、準備は重要なのであります。

で、今回入念に準備をしたのは
・地図
・不在時のお知らせ
・領収証
・説明資料
でありました。

特に重要なのは不在時のお知らせですかねぇ。
一応テンプレートみたいな紙もあって、それに○月○日○○時に集金に伺いました、次回は○月△日○○時に伺います、と記載する欄がある。そして、班長氏名と電話番号(!)を記入する欄があるわけであります。

ここにワイちゃんは「SMSでもOKでっせ」と記載したわけでありんす。電話って、現代社会だと結構ハードル高いと思う人が多いと思うんですよ。
本当ならば、電話番号なんて晒さずに区の連絡を取り合うことが出来るフォーム的なものさえあればQRコード載せて「ここに連絡してちょ」で済ませられるとは思いますが、如何せん自治区なぞにそんなもん使える金はない。というか多分技術を取り入れること自体が難しいでしょう。
ともすれば、集金者自身が「メールでもOKやで」と伝えるのは、ハードルを一段階下げる重要な文言じゃないかと思った次第であります。

もう一つ重要なのは説明資料。(今回は、用意してはいましたが最終的に使う用事はなく一安心ではありました)
アパート住まいの方も集金対象となっていた部分があり、住んで日の浅い方がいるかも知れんので、趣旨を理解していただくには丁寧な資料が必要じゃろと、配布資料と説明資料の準備は確実に行いました。

それに、集金者がなんの説明もできない状態で金だけ集めるって、そりゃ怪しいにもほどありますしね。こちらとしてもタダでやってる仕事とはいえ、あんまり相手に不信感は持ってもらいたくはないし。
自治区から発行されているおたよりの、区会費用途の記載された資料部分を常に携えて集金に臨んだ次第であります。あとは簡易的に配れるようなA5の説明資料も作った。完全に仕事じゃねぇかこれ。

あ、あと御釣りも大事っす。私の住んでる地区は小銭も含まれる金額となっていたので、それなりの金額の小銭を用意しとかんといけなかったんすよね。
でないと、「あ、大きいのしかないから払えないっす…」「あっ、そうですか…」というお互いの気まずさ1000%な空間が出来上がることは間違いありません。金を受け取る側としては、それはいくらなんでも不義理ってもんですしね。完全に仕事じゃねぇかこれ。

・背景の理解

そして、そもそもの区会費というものの立ち位置をしっかり理解しておく必要があるんですよね。
そのため支払い義務の有無について色々な解説サイトなどに目を通してみましたが、とりあえず一貫しているのは「支払いについて、区民としての義務は存在しない」という事でした。

これを見た瞬間、あぁ、そりゃトラブルも起きますわなと大きなため息をつくわけです。自分は正直この辺りの知識はシロートもいいところだったので、てっきり区会費にも支払い義務はあるもんなのかなぁと思っていました。

区民として、区会費の使用用途をしっかりと理解して、問題ないと考えるなら払ってくだしゃんせ、が正当な内容みたいっす。
これは、その地域にある程度根付いて生活しようと腹を決めている人ならば致し方なしと払うものでしょうけれど、単身赴任してきていたり、定住の地とするつもりがなく一時的な仮住まいという認識で住んでいる人からすれば払うメリットが薄いと感じる可能性が高い代物ですよね。

そもそも一軒家住まいなら、近所づきあいだとか地域行事の云々も見据えて支払うメリットは高くなるんですが、賃貸住まいで移住を見据えている人は、どうだろうなぁ…納得できるんかなぁ…と首をひねりたくなります。そして、今回の集金対象にはしっかりと賃貸物件にお住いの方も入っているという。うぐぐ、こりゃ嫌な予感しかしないぜ!

・合戦開始

不安を尻目に、集金業務開始。で、結果としては83.3%の回収率での決着となりました。

私の担当した地域ではそれなりに協力的な方も多く、「おぉ、今年はアンタか。大変だろうけど頑張ってな!」とエールを頂くこともしばしば。有難ぇ。有難ぇ。
恐らく、そう喋ってくれる方もこの集金業務を経験したことがある人なのかもしれないなぁと思いながら2週間ちょいほど頑張って業務に努めました。
で、SMSでもOKよ効果はそれなりにあり、丁寧にこちらへコンタクトをとってくれた方々もいて、大方の回収は1週間ちょいで決着がつきました。

ただ、やはり同じ地域内とはいえ見知らぬ相手がいきなり金を回収しにくるというシチュエーションですので、数件ほど居留守をつかわれるというケースも発生しました。まぁ、これは仕方ないっすよね。

そして、支払い拒否をする方も出現。これも仕方がない。恐らくワイちゃんと同じような調べ方をして区会費の成り立ちを確認したのでしょう、支払い義務はないやろ?とやんわりと断られるケースがありました。

一応総務側へそういったケースが発生しましたよ~と報告を入れたんですが、「いや、義務はあるぞ」と総務さんの一人が憤るようなワンシーンもありました。あぁ、トラブルのヨ・カ・ン…。多分、「法的な義務」と「地域的な義務」という意味合いですれ違いが発生しとるやつですね、これは。

もちろん、地域的には夏祭りでお神輿を担ぐ子供たちに美味しい幕の内弁当を振舞ってあげたいというような想いもあるでしょうし、地域コミュニティ的な使用用途となる区会費はなんとしても回収はしたいでしょう。ゆえに、「義務」と信じて疑わない方々もきっと多いと思います。でもなぁ、「法的な」という枕詞がつくと、一気に厄介な話になるのもまた事実だと思うんですよね僕ぁ。

そもそも区会費の徴収も、区の人間同士が必ず対応しなければならないっていうルールはあるんかね?という所もちょっと気になります。ワイみたいにメンドクサイことしたくない人間からすれば市が徴収して区に分配すればええやん、みたいな事をついつい考えてしまうのですが、まぁ、区のお仕事を通じてお互いに顔を広げてコミュニティを維持してくださいな、という狙いもあるのかもしれませんね。知らんけど。

セキュリティだ、プライバシーだという問題は、昔に比べればどうしても強く付いてくるような時代になったと思います。古くから受け継がれてきたこの区会費徴収システムに、いつかメスが入る日がくるのかなぁ…とぼんやりと考えるなどしました。

・とはいえ

この仕組みを変えるのって、思った以上に立ちはだかる問題も多そうだなとも思ったりしています。今の仕組みだからこそできる柔軟な対応というのもあるでしょうし、こういった動きを続けるからこそ「取り残されない街づくり」に役立てることもできる…とか、どうしても良し悪しは存在しますよね。

ただ、それを活かすために曖昧な部分を曖昧なままにしてしまうと、使う側も受ける側もモヤモヤっとした状態をあえて受け入れなければならないですし、それを解決するのは「人情」に訴えるしかない、という結論になるのかなと思います。

しかもこのモヤモヤっとしたものの正体って、共有認識もしにくいから余計タチが悪いかもしれんですね。

とりあえず私の役割は一旦終了しましたが、色々と学びが多い仕事でした、というお話でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?