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法務採用成功のために私がやったこと(総論編)

自己紹介・この記事を書いた背景

はじめまして。株式会社ビズリーチで法務の責任者を務めています小田と申します。前職の西村あさひ法律事務所に8年間所属したのちに現職へ。約3年間は、求人プラットフォームの法人営業などに携わり、2019年10月から法務室に異動して、現在の役割に至ります。

異動した当初、法務室における最大の課題は「採用」でした。会社として対応すべき業務量に対して明確に法務室のリソースが不足しており、メンバーがギリギリのところで踏ん張ってくれている状態でした。そこで私は2019年11月から採用活動を本格的に開始。弊社の誇る最強の採用部とタッグを組んで、今月までに3名の仲間の採用が決定しました。まだ採用を止める予定はありませんが、一定の成果を上げたことから、振り返るにはちょうどよいタイミングでした。

思えば、私が求人プラットフォームの営業をしていたときも、「法務の採用に苦戦しています。」という声は大変多く聞いていましたし、今でもそのような相談を多く受けます。この記事を通じて実際に私が行った採用活動をお伝えすることで、採用活動に苦戦されている法務の皆さんに何らかのヒントになればよいなと思うとともに、転職活動をされている法務パーソンの皆さんにも「採用側はこういうことを考えている」ということを知っていただくきっかけになればいいなと思っています。

記事を書いてみたらそれなりのボリュームになったので、何回かに分けてお届けします。今回はまずは、総論的なお話しから。

採用に対する自分なりの哲学

詳細に入っていく前に、「採用」というものに対する、私なりの哲学をお伝えしておきます。

私は、こと採用の文脈において、以下の価値観をとても大切にしています。

・正直であること
・対等であること
・主体的であること

採用というのは、ともすれば騙し合いになる。これは、私が人材業界に身を置きながら強く感じていた課題でした。自社を必要以上に大きく見せたり、欠点を隠したりすることで、外見的に魅力的に見せてみたところで、結局入社したときに露見する。それで入社した人は、入社して実態を知ったときにどう思うだろうか?その会社のために働こうと思うだろうか?結局、辞めてしまうでしょう。多大な時間を費やして採用した企業にとっても、キャリアの貴重なステップとして選んでくれた候補者にとっても、不幸でしかない。だからこそ私は、できること・できないこと、いいところ・悪いところ、あなたに対して私はどう思うか、など全て正直でありたいと思っており、できうる限りそのように実践しています。

同時に、採用は、構造的に情報の非対称性が大きく、基本的には企業側に有利なゲームだと思っています。候補者は履歴書を提出するが、企業の履歴書は見られない。企業にとっては候補者の一人に過ぎなくとも、候補者にとっては一度に一つしか選べない入社先。だからこそ私は、上から目線に感じられる「面接」というものがあまり好きではなく、あくまで対等に、お互いの相性を確かめる場としてお話ししましょう、とお伝えするようにしています。私と採用の場面でお話しした多くの方に、「キャリア相談のような時間でした」と言っていただけるのは、そのような姿勢が伝わっているのかもな、と思っています。

最後に、採用活動は誰の責任によって行うべきものでしょうか?人事部門?現場?色んな意見があるとは思いますが、私は、管掌部門の長の責任において行うことが最も効果的であると確信しています。採用は、組織の目標を達成するための一つの手段です。当該組織の目標及び現状との差分を最も理解しているのは、当該組織の長以外にはありえません。これほど自明なことでありながら、様々な要因により、採用について人任せになってしまうケースは少なくありません。私自身も、通常業務の合間をぬって採用活動を行っていましたので、しんどくなる瞬間もありましたが、結局のところ自分以外に採用の成否について責任を取れる人間はいないと腹を括って、徹底的に主体的にやり切りました。採用活動における、管掌部門の長の主体性は、いくら強調してもし過ぎではないでしょう。

活用した採用手法

さて、ここからはもう少し具体的なお話し。まずは、どんな手法を用いて採用を行ったのかをお伝えします。私が今回の採用活動において活用したのは以下の2つの手法です。

・求人プラットフォームでのスカウト活動
・人材紹介会社

求人プラットフォームとは、弊社が運営している「ビズリーチ」のような、企業が求人票を掲載し、求職者に対して「スカウト」というかたちでお声をかけることができるサービスです。具体的に今回活用したのは、ビズリーチに加え、Wantedlyさん、Greenさん、OpenWorkさんです。これらの手法のいいところは、自助努力によってある程度成果をコントロールしやすい、という点です。

採用活動は、究極のところ
採用数=面接数×面接通過率×内定承諾率
というシンプルな方程式で表すことができますが、この式の中で最も大切な指標が「面接数」になります。採用は確率論です。どんな綺麗ごとを言っても、たくさんの面接を行って多くの方とお会いしない限りは、継続的に成果を残すことは不可能です。

そして、面接数を表す方程式は
面接数=スカウト送信数×スカウト返信率+他の手法による応募獲得数
となります。求人媒体で応募を「待つ」、誰かからの紹介を「待つ」という採用手法には、どうしても自分の努力で解決できない要素が介在します。その点、「スカウト送信数」は、簡単に言えば自分が頑張ればいいだけですから、成果をコントロールしやすい。メッセージも直接伝えることができるので、熱量をそのまま届けやすい、という点にも大きなメリットがあります。

というわけで、私の行った採用活動のほとんどは、この求人プラットフォームの活用でした。実際に採用した方は、2名がビズリーチでのスカウト経由、もう1名がWantedlyさんでの応募経由(私のTwitterを見て興味を持ってくださって応募)でした。

他方で、人材紹介会社さんも非常に貴重なチャネルであり、数は多くありませんでしたがとても素晴らしい方との面談の機会をいただきました。求人プラットフォームには登録しない候補者の方というのは確実に存在しており、そうした方にリーチするためには、必ず活用したい手法です。なお、仲良くなった人材紹介会社の方とは、Facebookメッセンジャーでつながり、ご紹介いただいた方との面談の結果を必ず当日中に私からフィードバックし、ご縁がなかった場合にはどういう部分が違ったのかを私の言葉でお伝えするようにしていました。

採用業務の全体像

求人プラットフォームを活用した採用について、業務の全体像は以下のとおりです。

①求人票の作成
②スカウトメッセージの作成
③スカウト送信対象のリストアップ
④スカウト送信の実施
⑤日程調整等の候補者との連絡
⑥面談・面接

弊社の採用部との役割分担としては、①②③⑥は私、④⑤は基本的に採用部(一部私が直接やるケースあり)というかたちでやっていました。①②などは人事部門に任せるケースも多いと思うのですが、その部門でなぜ採用しているのか、どんな未来を描いているのか、どういう業務を任せたいのか、などは、結局自分の言葉で書くのが一番伝わるのです。なので私は一言一句こだわり抜いて自分でドラフトし、採用部のプロの目線でレビューしてもらってブラッシュアップするという段取りにしています。

各業務において気をつけていたことや、実際の文面などは、次回以降の記事に譲りますが、とにもかくにも上記の哲学に則り、自分の言葉で、正直にありのままを書く、ということを徹底しました。

次回予告

次回は、各論編として以下の内容を想定しています。お楽しみに。

・採用業務の具体的な中身(実際に使っている文面も公開します)
・社内ブログやTwitterなどの広報活動

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