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しあわせについて(ちょっと)本気出して考えてみた

「しあわせな日々」だ。「しあわせ」だ。
さて、「しあわせ」とはいったいなんだろうか? 
もしも、僕が瀬戸内寂聴なら僕のしあわせ論を開陳するところだけど、僕は寂聴ではないのでそれはしない。その代りに語源を調べる。

「幸」という漢字の語源を調べると、こんな説があるようだ。

さて、そこで紹介したい文字が「幸」です。これは、現代でいえば手錠(てじょう)、古代中国の手かせの形です。古代文字を見れば手錠・手かせの形であることがよく分かります。
多くの刑の中で、生命や身体の一部を失うことがない手かせをはめられて、手を使う自由だけを奪(うば)われる刑である「幸」は、とても「しあわせ」だったのです。
(47.news)
https://www.47news.jp/21865.html

どことなく、ウィニーが置かれている状況に似ている……。よくよく調べると異説(夭折を免れるの意)もあるようだが、代表的な説は上記であるらしい。一方、しあわせには「仕合せ」という文字を当てることもある。これについては、こちらのサイトに記載がある。

「しあわせ」という日本語の語源は、「し合わす」だとされています。「し」は動詞「する」の連用形。つまり、何か2つの動作などが「合う」こと、それが「しあわせ」だというのです。別のことばで言い換えれば、「めぐり合わせ」に近いでしょう。
自分が置かれている状況に、たまたま、別の状況が重なって生じること、それが「しあわせ」だったのです。ですから昔は、「しあわせ」とはいい意味にも悪い意味にも用いたようです。偶然めぐり合った、よい運命も悪い運命も、「しあわせ」だったのです。
(漢字文化資料館)
http://kanjibunka.com/kanji-faq/old-faq/q0416/

漢字の成り立ちとしては、「不幸中の幸い=最悪ではない」という意味合いが強く、日本語古語においては、「運命・めぐり合わせ・偶然(の結果)」という意味合いが強い。

一方「HAPPY」の語源はどうか?

Origin
Middle English (in the sense ‘lucky’): from the noun hap + -y. https://en.oxforddictionaries.com/definition/happy
hap 意味
[英語]偶然。運命。偶然におこる。
◉ 語源解説
古ノルド語 hap(好機)>hampa(機会;幸運)>kop-(うまく合う)が語源。「偶然による幸運」がこの言葉のコアの意味。happen(偶然におこる)と同じ語源をもつ。
https://gogen-ejd.info/hap/

(英語に詳しくないので間違っている可能性もあるが)、日本語古語における「しあわせ」と、happyの成り立ちはどうも似ている。どちらも偶然性についての単語であり、例えば、「喜ばしい感情」のようなものは介在しない。その状況に巡り合ったという事実が、「しあわせ」であり「happy」なのだ。

さて、我らがウィニーは、円丘に閉じ込められている。
この戯曲が「不条理劇」と呼ばれる所以は、普通のドラマであれば「なんとか、この丘から抜け出さねば」と葛藤するはずの主人公が、まったくその状況を変えようと思わないという点にある。そして、彼女を取り巻く円丘は、どんどんと彼女を飲み込んでいく。
彼女は抗わない。彼女はただ偶然に出会った状況に身を置いているだけでしかない。それは、語源に照らし合わせれば「しあわせ」で「HAPPY」と言えるかもしれない。

あるいは、条理に合わない状況にただ従うしかない不条理劇とは、原理的に「しあわせ」で「happy」なものなのだろうか。

なお、瀬戸内寂聴は「幸せ」についてこう語っている。

【瀬戸内寂聴「今日を生きるための言葉」】第615回
幸せとは心が自由なこと。心にわだかまりがないということ。お金があろうとなかろうと関係ありません。健康で、それで心が自由だったら、それはもう一番の幸せです。
瀬戸内寂聴
http://www.1242.com/lf/articles/99564/?cat=life&feat=setouchi

まあ、そうですよねえ……。

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