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コンプレックス強めのニット作家 その2


前回は長文過ぎて書き上げるのに
エネルギーを使ってしまい、
続きを書くのが遅くなってしまいました。
書きたい事は山のようにあるので
ニット作家に至るまでの
エピソードは少しずつ紹介していきます。
のんびりとお付き合いください。

今日はものづくりの楽しさを初めて味わったときのおはなし。

前回で告白した通り
だめだめコミュ障の私でしたが
小学校4年生の時、
初めて親友ができました
名前はゆみこちゃん。

彼女は転校生でした。
私と似た背格好でおとなしい性格、
人見知りでクラスに馴染むのに時間がかかり、ぽつんとひとりでいることが多かったので、自然と話をするようになり
やがてお互いの家を行き来するくらい仲良くなりました。

ゆみこちゃんはお父さんを亡くされていて、お母さん、弟さんと一緒に彼女の祖父母の素敵な一軒家で暮らしていました。

おうちに遊びに行くと
自分の勉強部屋があり、本棚には
学研の学習と科学や暮らしの手帳など
見たことのない
かしこい系の雑誌が並んでいました。
ゆみこちゃんが彼女の祖父母のことを
「おじいちゃま」
「おばあちゃま」と呼んでいるのを見た時は衝撃的で、自分との育ちの違いを目の当たりにしたのをよく覚えています。

当時、小学生女子が愛読する月刊少女漫画雑誌は「なかよし」派と「りぼん」派に分かれていて私は「なかよし」派でした。
中でもキャンディキャンディが大好き
で、新聞折込チラシの裏に、イライザの縦ロールとか、キラキラのドレスなんかの落書きをしていて、同じ「なかよし」派のゆみこちゃんとも一緒に描くようになりました。

ある日、なんとなくふたりで盛り上がって「なかよし」みたいな漫画雑誌を作ろうということになりました。
お小遣いを出し合って近所の文房具屋さんで藁半紙をたくさん買ってきて、放課後私の家でコツコツと書き始めました。
今でいう同人誌作りのようなものです。

内容は全く覚えていないけれど、
確かキラッキラのお姫様と王子様のハッピーエンドの恋愛漫画と、
とびきりふざけた下ネタも入ったギャグ漫画の二本立てでした。

もちろん親にもクラスメイトにも内緒。
2人であらすじを考えて、 
あーでもないこーでもないと
描いたり消したりの分業作業。
物差しでいっぱしにコマ割りして
鉛筆と消しゴムを使って
描き直し過ぎて藁半紙が破れてしまったり、時間を忘れるほど楽しい秘密の作業でした。

やがて記念すべき1冊が出来上がりました。
ただただふたりで1冊描きたかっただけの他の誰にも見せるつもりもない
世界に1冊だけの漫画本。
傑作ができたのがとにかくうれしくて
ふたりで何度も何度も大笑いしながら読み返しました。

思い返せば、それが私の初めての
クリエイティブワークでした。
企画を立ててアイディアを出し、
ひたすら手を動かして形にしていく。
イメージと違うと思ったら
何度もやり直して理想の形に近づけていく。
何もないところから何かを生み出したことの喜びを初めて感じた経験でした。

ゆみこちゃんとはその後も仲良くしていましたが、ミッション系の学校に進学するため、また引っ越ししてしまいました。
しばらくは文通していたけど
そのままなんとなく会わなくなってしまった。
ふたりで描いた大切な漫画本は私がずっと保管してたはずなのに
どこかへ無くしてしまいました。

ゆみこちゃんは今、どこでどうしているかなぁ。
私と漫画を書いたこと覚えていてくれるといいな。

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