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衝突が生むもの
今シーズン、CL決勝の舞台に立ったドルトムント。そこに中心選手として活躍した1人の男がいた。それがJ・サンチョ。しかし、本来であれば彼は赤いシャツを纏って活躍をするはずでした。あの時までは。
-期待-
21年の夏、7300万ポンド(約145億)もの超高額の移籍金で、およそ3年間所属したドルトムントからユナイテッドへ移籍したサンチョ。その金額を見れば分かる通り、彼への期待はとてつもないものでした。
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移籍当時のインタビューで彼は赤い悪魔の一員になる喜びを以下のように語っています。
「マンチェスター・ユナイテッドに加入するという夢が叶ったし、プレミアリーグでプレーすることが待ち遠しい。ここには若く、エキサイティングなスカッドがあり、このクラブのファンにふさわしい成功をもたらすために、僕たちは一緒に特別なチームに成長できるはずだ。さらなる成長のために監督、コーチングチームと働けることを楽しみにしている」(サンチョ)
-厳しい道のり-
その当時、ユナイテッドを指揮していたスールシャール監督も彼の才能を高く評価しており、すぐさまデビュー。
しかし、彼にとっての最初のシーズンはチームにとっては非常に厳しいシーズンとなり、そのようなチーム状況もあってか、サンチョは3Gと乏しい結果で最初のシーズンを終えました。
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-再起-
前シーズンの不振を受け、チームは監督を交代。
アヤックスからエリック・テンハグ氏を招聘します。新監督の下、サンチョは徐々に結果を残していきます。特にリバプール戦のペナルティ付近での冷静なフィニッシュは、ドルトムント時代を彷彿とさせるものであり、まさにユナイテッドが彼に求めていたものでした。
ついに25番は自身の価値を証明し始めます。
しかしシーズンが進むにつれて、断続的にしか結果が伴わず。そのような個人の不調もあってか、22年の冬に開催されたカタールワールドカップのスカッドに選ばれなかったサンチョは、メンタルの問題でチームを離脱。数ヶ月後、チームに復帰したサンチョはリーズ戦にて途中出場。
同試合で、ビハインドを背負っていたチームに貴重な同点弾をマーク。自身の復帰を最高の形で祝いました。 (以下Instagramにて)
「どれだけこの感覚を待ち侘びたことかは言い表しがたいよ! チームは素晴らしいキャラクターを発揮した。僕は再び週末に向かう」
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しかし、強くなって帰ってきたと誰もが思いましたが、復帰後も数試合のみの活躍に終始しそのままシーズンを終えることに。この時点での2年間はサンチョにとって非常に苦しいものとなりました。
-終わりの始まり-
入団以降、本来の実力を発揮できていないサンチョ。いよいよ懐疑的な目が彼に向けられ始めました。勝負の3年目。プレシーズンでは、ゼロトップの役割で、それなりに躍動。新たなポジションでの活躍が期待されました。
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シーズンが開幕。主力としての活躍が見込まれたサンチョですがその期待は最悪の形で打ち砕かれることに。
プレシーズンでの活躍がまるで嘘だったかのように、第4節のアーセナルとの一戦で、ベンチ外となったサンチョ。その理由を指揮官が以下のように語っています。
「トレーニングでのパフォーマンスに基づいて彼を選ばなかった。マンチェスター・ユナイテッドでは、毎日ある一定のレベルに達しなければならない」
この指揮官の批判に対して、サンチョはSNSで以下のように反論。
「事実とはまったく異なる。今週、僕はトレーニングで本当にうまくやってきたんだ。この件に関しては、他の理由もあると思うけど、それについては触れないよ。僕は長い間スケープゴートにされているし、こんなのフェアじゃない! 」
この2人の衝突は、様々な議論を巻き起こし、互いに様々な賛否が寄せられました。どちらが真実を述べているかは当時者のみぞ知ることでありますが、この出来事を機に、クラブは当分のサンチョのトップチームからの除外を発表しました。
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-決別-
この衝突により、チームから追放されたサンチョ。和解できる唯一のチャンスであった"サンチョ側からの謝罪"
これも本人が拒否したことで、両者の関係はもはや修復不可能なものに。
出場機会が完全に失われたサンチョは、今シーズンの冬に古巣のドルトムントへレンタルでの出戻り移籍を果たします。
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SNSもユナイテッドに関連する全ての投稿を削除。あたかも最初からユナイテッドにはいなかったかのように、ドルトムントで再出発。
かつてのクラブで、水を得た魚のように躍動するサンチョは、リーグ戦はもちろんのこと、チームの11季ぶりのCL決勝進出に大きく貢献。準決勝でのPSGとの一戦では、ワールドクラスのポテンシャルを改めて示しました。
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迎えたレアルマドリーとの決勝では惜しくも敗れ(0-2)、ビッグイヤーの戴冠はなりませんでしたが半年を通して、自身の価値を改めて証明しました。
しかしあくまで、買取オプション無しのレンタル移籍なため、シーズン終了をもってユナイテッドに復帰。
一方のテンハグ監督も、自身のユナイテッドでの将来が不透明であることをクラブから通達され、もし解雇に至ればサンチョがユナイテッドに復帰する可能性も報じられました。
しかし先日、、
"来季の監督が誰になろうとクラブはサンチョを売却する方針"とBBCが報道しました。それを受けてドルトムントが"レンタル"での再獲得を目指している模様。指揮官のみでなく、ついにはクラブもサンチョと決別することを決断。
当然ですが、もはや今後ユナイテッドで彼がプレーできる余地もなく。互いに心ここにあらずであれば、せめて両者が納得のいく結末を期待したいところです。
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