『最終陳述』ネタバレあり時系列解説+小ネタ

ネタバレありで時系列解説、小ネタを書いていきます
今なら『天使について』や『シデレウス』で興味を持った方が見てくださるんじゃないかと思って書きました!
『天使について』と同じ脚本家様の作品です
実は同い年、なガリレオとシェイクスピアが死後の世界で出会ったら…? という物語

☆時系列☆

「被告は、最終陳述せよ」
宗教裁判にかけられたガリレオは地動説を支持した罪を認め、終身刑に処された。『天文対話』の続編として地動説の支持を撤回し神を讃える内容の本を書くと誓う
→地下牢でマリアに宛てて書いた手紙。それを渡す前に、彼女は亡くなってしまった。一目でも娘に会いたいと願うガリレオ。
…ふと目を開けると、そこには謎の人物がいた
→その名もコペルニクス。彼は死してなお追われており、逃亡の最中なのだという。さすがに夢だと思いつつも、宗教裁判で地動説を否定したことについて謝罪するガリレオ。コペルニクスはそんなガリレオに対して、本当に真実が大切なら主張を貫くべきだった、と批判する
→地動説を言うだけ言ってさっさと死ぬなんて卑怯だ! と言うガリレオ。必ず続編を書き上げて、天国に行ってやるんだから!
決意を新たにしたガリレオの前に、またしても謎の人物が現れる
→夢でしょう? と言うガリレオに、彼は港で行われる裁判について話した。しっかり答弁できれば天国行きの船に乗れる。できなければ地獄行きの船に乗せられる。どうせ自分の夢だろう、と信じていないガリレオ
→ウィリアムと名乗った男は、ガリレオの名前を聞いてテンションを爆発させる。なんと彼は、ガリレオの大ファン(自称ファンクラブ番号No.1)だったのだ!
(持っている謎の板でツーショ自撮りしたりする)
まさか死後の世界で会えるなんて、と感動するウィルに、ガリレオは衝撃を受ける。死後の世界だって? 嘘だ!
→ここは会いたい人に会える世界。船に乗っていなければ、だけど。だからコペルニクスにも会えた。目も見えるようになったでしょ? ウィルの言葉に驚くガリレオ。病気でほぼ失明状態だったのに、たしかによく見えるようになっていた
→ところで君は誰だって? そう聞いたガリレオに、男はシェイクスピア、と答える。テンションを爆発させるガリレオ。なんと彼は、シェイクスピアの大ファン(自称ファンクラブ番号No.1)だったのだ!
→ガリレオを主人公にした物語を書こうとしていたシェイクスピアと、シェイクスピアの脚本を参考にして対話形式で本を書いたガリレオ。ふたりは会えた喜びでしばらく踊る。Oh ガリレオ Oh ガリレイ Oh ウィリアム・シェイクスピア!
→タクシーを捕まえて先にホテルに行ってて、とガリレオに告げるウィル。タクシーを知らないガリレオに、未来ではいろんなものが発明されてること、タクシーとは自動で走る馬車だということを説明する。ホテルはひとつしかない。イル・ジョイエッロっていうんだ。
(イル・ジョイエッロはフィレンツェにあるガリレオが晩年に住んでいた家の名前)
教会に刃向かったから地獄に落ちるだろうか、と不安になるガリレオを、港で答弁できれば大丈夫! と励ますウィル。ホテルの1階のステージに行けば神に会えるから、サインをもらうように。ウィルの言葉を訝しむガリレオ。神に会える、だって?
→先に行ってて、と言うウィルを置いて、ひとりタクシーに乗るガリレオ。妙に話しかけてくる運転手は、本なんか書くべきじゃない! と語る。どうやら彼は、出版した本の中で惑星の順番を間違えて書いていたことに死後気づいたらしい
→プトレマイオス? ガリレオは彼に、自身の裁判で「ガリレオは天動説を支持している」ことについての証人になってもらいたいと頼むが、断られる
→ホテル到着。1階のステージでライブが始まる
→Hello I'm G.O.D! フレディと名乗る神にサインをもらったガリレオはウィルと合流。神のサインはフリーパスとして使えると教えてもらう
(神はそのときどきで気に入った名前を名乗る)
(『天使について』の神はグラサン+黒毛皮コートでしたが、今回の神は黄色ジャケットで肩に黒い鳥を乗せています)
→神に会えた? と聞くウィルに、神を名乗る詐欺師になら会ったよと答えるガリレオ。それが神だ、君が想像する姿で現れるんだと言われるが、どうにも納得できない
→ガリレオの邸宅に似たホテルには望遠鏡があった。ウィルに望遠鏡を紹介するガリレオ。ウィルは友人の死すらも創作の糧としてしまう自分に絶望していたころガリレオを知ったことを思い出し、涙を流す。彼はそのとき、ガリレオを主人公とした話を書こうと決意したのだった
→地獄行きを憂うガリレオを励ますウィル。ウィルは、教会が忌み嫌う人間を批判したらいいんじゃないかと提案した。教会が最も忌み嫌う人間は誰か。ジョルダーノ・ブルーノじゃない?
→やめろ! と叫ぶガリレオ。ウィルが出て行ったホテルの部屋で、ブルーノに思いを馳せる
→ブルーノと初めて出会ったのは、とある屋敷の庭園だった。彼はガリレオの額に、そして唇に口付けを与えた。彼の歌声が忘れられないガリレオ。共に逝けなかったことを許してほしいと懺悔する
(額へのキスは思想を与えたこと、唇へのキスは言論を与えたことの隠喩とも言われています。美しいですよね…)
→ガリレオはミルトンを想起する。彼は、宗教裁判の後にガリレオを訪ねてくれた最後の人間だった。ガリレオはミルトンに『天文対話』の続編を書く手伝いをしてほしいと頼む。君の好きなように適当に書いていいから、と
→ガリレオを尊敬していたミルトンは、共著することをとても楽しみにしていた。誰かを想って魂を込めて本を書くミルトンにとって、ガリレオの申し出は失望に値するものだった。またひとり残されるガリレオ
→目が覚めると、変わらずガリレオはホテルにいた。ボンジョルノ! と言うウィルにグッドモーニング! と返すガリレオ。ぎこちないながらもふたりは仲直りする
→ウィルにミルトンはどうなったのか知っているかと聞くガリレオ。謎の板で調べると、ミルトンはどうやらガリレオが死ぬ30年後に死んだそうだった。目が翳む中で口述筆記で書いた作品、『失楽園』をガリレオ・ガリレイに捧ぐ。その言葉を聞いて、ガリレオは悲しむ
→港までは遠いから、ふたりのうちひとりは飛行機、もうひとりは徒歩で行くんだ、と言うウィル。カタリーナの前で歌うと、どちらが飛行機に乗れるか決めてくれるんだ。ここから客席絡みが始まります
→特定の席に座った人(通称:カタリーナ席)に鳥籠が渡される。ふたりのパフォーマンスを見て気に入った方にカタリーナが鳥籠を渡します
(お菓子を延々渡して釣ってくる俳優さんやお手紙渡してくる俳優さんなど選ばれるための工夫もみどころ)
【ガリレオが選ばれた場合】
ウィルが「悲劇作家」を歌う
→ガリレオ、飛行機に乗る。しかし、飛行機の運転手がフリーパスを奪おうと襲ってくる
【ウィルが選ばれた場合】
ガリレオが「アイアムアダンサー」を歌う
→ガリレオ、歩く。途中で強盗が現れ、フリーパスを奪おうと襲ってくる
(飛行機の運転手と強盗でウィル役の俳優さんは衣装が違うんですよ!)
→地球は動いていない、と三段論法を使って主張する男。彼はずっと寝たきりなので、ガリレオのフリーパスを使って生き返りたいと思っているのだった。フリーパスを使えば生き返れると知り、驚愕するガリレオ
(作中では名言されないが、おそらくアリストテレスと思われる)
→なんとか男をやっつけ、港についたガリレオ。そこには神がいた
→人間が祈るから天使を送ってやったんだ。なのに天使は仕事を台無しにした。人間に恋したんだ、とか言ってさ。この世の犬と薔薇と猫は実は皆天使だったんだ、と語る神。『天文対話』の続編を書けば地獄行きは免れると思った、そう言ったガリレオを神は否定する
→天国も地獄も関係ない。これはお前の旅なのだから、と
→フリーパスを使えば生き返れる。しかしガリレオは、フリーパスを使ってマリア・チェレステに会いたいと願った。願いを叶えてやる神
→もう生き返ることはできない。ガリレオは恐怖の中でブルーノの最期を思い出した。なぜ君は死を前にしてもなお、ああも美しいままでいられたのか
(ここでガリレオを連行するように腕を引く人物が現れるのですが、彼はブルーノだと言われています(ブルーノ役として俳優さんが出てくるときはこの場面の衣装を着ている)。彼がガリレオの想像にすぎないのか、神のもとで働いているのかは解釈次第)
→ガリレオは最終陳述を始める。太陽が回っているのだ、と。そこに駆け込んでくるウィル。僕には真実が一番大事だ。真実を語ってほしい、とガリレオに訴える
→この旅を通して何を得たのか。ガリレオは逡巡の末、地球は回っている、と告げた
→ウィルは語る。舞台の光が消えたら、主人公は星になるのだ、と
→完

☆登場人物紹介☆
【ガリレオ】
主人公。ガリレオ役の俳優さんはガリレオだけを演じます
【ウィル】
ウィリアム・シェイクスピア。こちらの俳優さんは以下全ての役を演じます
彼自身も「罪人の物語を書いた」という罪人であり、1000人を船に乗せたら天国に送ってやると言われてガイドの役目を果たしている。ちなみにガリレオが1000人目。タブレットのような謎の板を持っている
【コペルニクス】
死の直前に出版社に原稿を送りつけ、異端だと宗教裁判にかけられる前にこの世を去った人物。教会に対しては勝ち逃げしたが、港で船に乗る前に逃げ出したので逃亡者として追われている
【プトレマイオス】
本を出したはいいけど惑星の順番を間違えて書いたことをずっと恥じている。みなさん、どうか本なんて書かないでください〜木の命はとっても大切なんです!
彼は自ら天国行きの船を降り、タクシーの運転手をやっている
【フレディ】
神。Love is love〜
ガリレオが想像した姿で出てきた神なので、『天使について』に出てくる神とはちょっと違う。ヴァレンティノの話をするので同じ存在ではあるかもしれない。お願いは絶対禁止だけど、フリーパスがあれば叶えてくれる
【ブルーノ】
火刑に処された。もしかしたら神のもとで働いているのかもしれないし、違うのかもしれない
【ミルトン】
ガリレオと出会ったときはまだ青年だった。自分と一緒に書くはずだった本をガリレオが大切にしていないことを知り、失望して彼のもとを去る。だがガリレオのことを嫌ったわけではなかったようで、晩年の著作を彼に捧げた
【アリストテレス?】
飛行機の運転手、または強盗。太陽が動いてるんだと主張してくる。生き返りたい

☆その他いろいろ☆

・2019年春、ミュージカル 『最終陳述』ミュージカル『シデレウス』演劇『ガリレオの一生』が同時期に公演されていたためニュースになっていました
私はGWに最終陳述(推し作曲家&推し作家)とシデレウス(推し俳優)を交互に見たのでずっとガリレオを見てました。ガリレオの春
・ガリレオは冒頭、そしてミルトンとのシーンのみ老いた姿であり、それ以外のシーンは若い(目も見える!)姿として演じ分けられています
・字幕はないのですが、気になった方はぜひ見てください! DVD持っていますので!
DMくださればお見せします→ @mnon_029

お読みいただきありがとうございました!
また日本でも再演されることを願って…


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