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オレンジの温もり #夢現シリーズ

生まれた時から、私のそばには母しかいませんでした。

時折現れる父と、三人で何処かへ出かけては喧嘩をしている両親。

怒られる母と怒る父。
間に挟まれては嵐が過ぎ去るのをじっと待っていました。
私が止めても止むことのない雨。その雨雲を作っているのは私だと、降りしきる涙のなかで感じていたものです。


ある日、
カタカタ、コトコトと、心地良く揺れる車内で眠りこけていた私は、母と父が喧嘩をしていないことに気付きました。

二人はきっと、眠る我が子を起こさぬようにと静かにしていてくれたのでしょう。


ただただ座っている二人。それなのにとてもあったかくて。


流れ込んできた静寂が、私の心をあたたかく包んでくれて、
幼心に「ずっとこのままでいい」と、望まずにはいられないのでした。

私って変でしょうか?

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