見出し画像

King Gnuに出会って全てのモチベーションが爆上がりして査読論文がアクセプトされるまでの話(1)

なんでもかんでもKing Gnuを絡めないと文章が書けないのかと呆れられてるとは思うのですが、とりあえずタイトルの通り、King Gnuに出会った時の衝撃であらゆることに対するモチベーションが爆上がりしたまま、この2年ほど生きてきました。

そもそもは、在野でこれから研究を始める方の参考になればと思い、研究を始めた頃から今に至るまでの自分の経験を真面目に書いていたのですが、どうしても嘘っぽい文章になってしまい、素直(?)にKing Gnuからの影響にも触れながら書くことにしました。
(当初は、私が研究を始めるときに参考にさせていただいた、篠宮紗和子さんの研究ブログをイメージして書いていたのですが、全然違う仕上がりに…)


1.自己紹介

公立文化施設に勤めている団体職員です。
90年生まれで、King Gnuとほぼ同世代です。
美術系事業の担当で、主に展覧会やワークショップの企画運営をしています。
休日を使って、在野で現代美術作家のキャリアや働き方について研究しています。

専門は社会学で、今取り組んでいるテーマも社会学の立場から研究しています。
修論は東日本大震災の広域避難者支援について書きましたが、もともと修士で出るつもりだったのと音楽が好きなので、修了後は公立文化施設を管理する外郭団体に就職しました。
美術の勉強はしてきませんでしたが、最初の就職先でたまたま市民ギャラリーに配属されて、それ以来ずっと美術に関わる仕事をしています。学芸員の資格は、就職してから働きながら勉強して取りました。

学生時代は、単位を落としたことはないけど、成績が良いわけではなかったです。一度も学会発表、投稿論文に挑戦しないまま修了したし、優秀修論賞とかにも選ばれなかったです。研究者に必要な資質みたいなものも全然持っていないと思います。

それでも在野で研究を始めようと思ったのは、理不尽な出来事を知るとスルーできなくて、延々と考え続けてしまう性格だからです。
就職してさまざまなアーティストと出会い、話す機会が増えていくうちに、彼らが作家活動のなかで遭遇してきた、ありとあらゆる理不尽な出来事を知るようになりました。また、私自身も未熟で、アーティストを支援する側なのになかなか思い通りに仕事ができなくて、力不足や不甲斐なさを感じることがたびたびありました。

そこで、業務とは別に趣味として、自分の責任の範囲で何かできないだろうかと始めたのが今の研究です。

2.研究を始めてから査読論文が通るまでの時系列

2014年4月 外郭団体に就職
2018年4月 同業他社に転職
2019年5月 働きながら在野で研究を始める
      学芸員資格取得のため通信教育部のある芸大に入学
2020年3月 学会発表のエントリーをしようとするものの、研究が行き詰まる
            4月 突然King Gnuの沼に落ちて骨抜きにされる
            5月 King Gnuのおかげで研究上の重要なアイデアが湧いてくる
      日本社会学会(日社)に入会

大学に所属してないので、日社に入るために大学院時代の先輩に会いに行って推薦人になってもらった


2020年10月 学会発表デビュー(日本社会学会第93回大会)

オンライン開催のため、King Gnuのタオルを映り込ませて発表したものの、特に誰からも言及されず終了


2020年12月〜 大学の授業、シンポジウムや研究会にゲストで呼ばれて発表
2021年3月  学芸員資格取得
            4月 3年がかりで企画した若手作家の展覧会を開催
           11月 論文提出
2022年2月 リバイスされる
            3月 再提出
            4月 無事にアクセプトされる 


おおよそはこんな感じになります。
査読論文は7月公刊予定の東海社会学会年報第14号に掲載される予定です。

研究と同時に学芸員資格の勉強も始めたので、自分で決めたこととはいえ、この数年間は飛ばしすぎたと思います。
ここ数年の休日は、レポートを書いているか、文字起こししてるか、文献とにらめっこしてるか、原稿を書いてるか、担当する企画のことを考えてるか、英語の勉強をしてるか、猫のおなかを吸って現実逃避するか…のどれかだったような気がしますが、終わってしまえばここまであっという間でした。


3.そもそも「King Gnuが研究のモチベを爆上がりさせる」とは

まずKing Gnuとは、「突如として現れた、音・ビジュアル共に圧倒的オリジナルセンスと完成度を誇るトーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイルバンド」(公式)です。

(突如としてここから全然違うテンションの文章が現れますがご容赦ください。)

King Gnuは一般には「白日で売れた4人組ロックバンド」として認識されていることが多いと思いますが、彼らの曲には、クラシックやジャズ、ブラックミュージック、J-POPなどいろいろな要素が複雑に取り入れられてて、ロックバンドというには情報量がめちゃくちゃ多いです。
でも、情報量が多くて複雑なのにどの曲も徹底して万人に届く形になっている、というのが彼らのオリジナリティの一つであり、大きな魅力だと思います。




他の追随を許さないほど大活躍を続けるKing Gnuなのですが、私も前回記事の通り、例に漏れず沼に落ちて抜けられなくなってしまいました。

そのうちに抜けられないどころか、
「常田さん(Gt./Vo.)はいつも明け方まで曲を作ってるから、私もここで寝るわけにはいかない」とか「King Gnuの方が私より忙しいからここで倒れるわけにはいかない」とか、とにかくKing Gnuを準拠集団に設定して、研究はもちろんあらゆることに対するモチベーションの出どころをKing Gnuに全振りするという、強制的にストイックになれる方法を編み出しました(自分でもちょっとどうかと思う)。

なので、King Gnuの曲がかっこよくてテンション上がるから頑張れるというのももちろんあるけど、どっちかというとKing Gnuのみなさんの音楽家としての姿勢にめちゃくちゃ共感して勝手に火をつけられた気持ちになったまま、アクセプト目指して突っ走った感じです。


ところで、前も書いたようなことなんですが、King Gnuのオリジナリティを支えているのは、参照してる先行研究(過去の音楽)の圧倒的な量とそれを全部理解して身につけて使いこなすまでの能力、技術だと思っています。
過去の音楽をリスペクトしながらも批判的な視点は忘れず、自分たちのやりたいことが一番輝いて見えるように先行研究から得た知見を使いこなして、そこに4人で毎回新しい知見を積み重ねていって、しかもそれを多くの人にとって理解可能な形にして届けるという…研究のやり方としても音楽の作り方としても、超正攻法なんじゃないでしょうか。
「身につけた専門知識や技術は自分次第でどうにでも、どこででも活かせる」という強力なメッセージを、音楽を通して発し続けているように思えてなりません。


そういうわけで、King Gnuを聴いていると、自分の研究の未熟さを痛感させられるので(そんなこと思いながら聴く人いないと思うけど)、King Gnuを心から楽しく聴くためには、自分も限界まで頑張って研究成果を出すしかない、という謎の論理がここに成立します。
本当におかしいと思うけど、King Gnuで研究のモチベーションが爆上がりしてアクセプトまで頑張れた理由はこれです。
でも誰も真似したくないと思うし、勧められるものでもないので、参考にならなくてすみません。


さて、ここまで一気に書いたらもう3000字くらいになってしまい、ちょっとした大学のレポート並みになってきて、力尽きてしまいました。
続き、というか本題の仕事と研究を両立させるために工夫したことなどは、また後日書かせてください。次こそKing Gnuの要素を含まずに書きたいと思いますので…!

何かの参考になれば幸いです。