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姉弟(2) 私の弟

私には弟がいる。
同じ父親と母親から生まれた、私とは違う存在。

私は中卒で上京した。3つ下の弟は小学生だった。私はその頃弟が好きだった。と思う。

寝顔が可愛かった。歌が好きで、1時間ぐらい歩く家から学校までの道でよく2人で歌っていた。

私は兄が怖かった。兄がくるとビクビクしていた。だからこそ弟と一緒にいることは多くて、一緒にいてくれる弟が好きだった。

上京してしばらく会っていない間に可愛かった弟はいなくなってた。
声が低くなり、私より大きくなって、体も筋肉がついて……なんか男になったなぁという感じ。周りには愛想よく、家族といると無言。兄とそっくり。誰だこいつ

そんな弟とルームシェアすることになった。10年ぶりの弟との同居生活


私も弟も漫画が好きだ。漫画の趣味もわりとあう。貸し借りができる。すごいいい。素晴らしい。たまに新刊を2人とも買ってきてしまうことだけ気をつける必要がある。

弟は漫画を音読する。部屋で全力で音読する。1人で何役やってんだと感心するが、内容が入っているとは思えない。
黙読の方が感情に集中できて内容に没頭できる気がするのだが
「音読の方が感情がわかる。」らしい。
感情が体に現れるのではなく、体が作られて感情を理解するのかな。

弟は部屋でセルフカラオケをする。好きな曲を流して、これも全力で歌う。今のところ苦情が来たことはない。ありがたいことだ。


弟は「もったいない」が口癖なのではないかと思う。野菜の皮や芯もそのまま料理に入れてしまう。私が捨てると「食べられるのに」という

ある日の会話
「人参の芯は?」「うん」
「ジャガイモの皮は?」「うん」
「玉ねぎのあたま」「うん」
弟のうん。は食べられるという意味だ。私が残飯食わせているみたいな気持ちになる。

りんごの皮を剥いていたら、隣で剥かれた皮を端から食べていた。
ひもじいのか?今までどんな生活をしてきたんだ。
いや、同じ家の生まれのはずだ。


弟は女っ気がない。心配だ。昔からエロ本とかエロ漫画とか私の方が興味があって、弟が隠してるのや興味をもってるところを見たことがない。
むっつりなのだろうか。姉には隠すものなのだろうか。

「紳士的でいたい、人に対して誠実でありたい。」
言葉にしてたびたび言うぐらい人に対して丁寧に接する弟。口数は少ない。
でも多少、邪な考え、下心を持つのもある意味動物としての誠実な関係だ。

弟の居ぬ間に部屋を散策してみる。

無駄なものがない。整頓された部屋。すごい。同じ六畳なのにこんなに違うものなのか。残念ながら何も見つからない。
最近は全部、エロサイトとかなのかな。
現物があるより安心だもんな。


弟はちょっと変わってる。姉弟として仲がいいか悪いかなんてわからない。

でも、嫌いじゃない

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