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不幸の深度

今現在、私の私生活は荒れに荒れていてなんというか嵐の中、座礁して転覆してしまった船にしがみついているという様相です。ディズニーランドのカリブの海賊で最初のあたり、嵐の中ボロボロの海賊船の舵輪を回してる骸骨いますね?あれ、私です。死んでも船にしがみついて、嵐の中利かない舵輪を一生懸命に回しています。あれは怨念の象徴ですよね、いい時代を忘れられない海賊たちの。

そうすると、私の船、もう転覆しちゃったんですけど、どうしたらいいんですかー?!?!??!!?舵輪も船も壊れてるし気づけば私も骸骨になってるんですがー?!?!?!??!

と人生の先輩方に聞きたくなるんですよね。人によって意見は全然違うし、見方も視点も全く違う。でも

転覆してしまったのなら、自らの腕で、足で、海を泳いで行くこと!そして船をまたこしらえて、さらなる大海原に漕ぎ出すこと!!

これだけは皆同じことを仰る。そう、皆が同じことをいうとき、それは真理に近いと思っていますし(多数決を手放しで絶賛するわけではないけれど)私ももちろんそう思う。自分を頼りに海を泳いで、自分の船で行かなくてはならない。

その上で近くの島に一旦避難して嵐の様子を見て船を修復しようとするのか(すごく難しそう)、もうそのまま果てない海を目指して造船しながら泳ぐのか(すごく難しそう)、それは人によって全然違います。そして私もこれから何かしら選ばなくちゃいけない。むしろ自分で泳がなきゃいけないはずなのに全て船のせいにしていたからこんな風に座礁しちゃったんです私の、(私たちの)タイタニック。

前置きが長くなりましたが、今回自分が骸骨になってみていろんな方々のお話を伺う中で不幸の深度、のようなものが垣間見えたような気がしました。どれだけ辛いことがあっても、どれだけそれを乗り越えてきたとしても、みんな普通に暮らしている。そしてそれらをそっと深い海の底にある宝箱にしまってあるんです。それは例えカリブの海賊であっても奪えないもので、普段誰の目にも見えません。本人の目にも見えていないのかもしれません。

そして骸骨になって怨霊になってボロボロになった人が目の前に現れたとき、その宝箱の鍵穴に骸骨の指が触れたとき、そっと開いて中を見せてくれる。骸骨にとって(否誰にとっても)お宝で、それを少し分け与えてくれるんです。

私も辛いことがあったの、こんなことがあってね、って。で、骸骨はお宝を受け取って生きた人間へと回復していく、そんな気がしました。(残念ながらダメージが大きく私は未だ骸骨ですが、ありがたいことに部分によっては人間に戻ってきています)

別に不幸が必要だと言っているんじゃないんですけど、明らかに経験した不幸によってお宝が違うと思いました。多いから良いとか少ないからダメだとかそういうことでもなくて。不幸なことは経験したくない。それは誰だって同じだと思います。でもね、もし不幸を経験したのなら、してしまったのなら、誰かにその経験を話して辛い人に寄り添うことはできる。経験という、とても大きく美しいお宝を得られるのだなって。

そんなことを今回妖怪舵輪回しこと骸骨こと、私は思いました。経験が浅いからダメだとか深いから良いとかそういうことを言いたいわけじゃないんです。経験はみんな全然違うし、そこから得たお宝も人によって全然違いますし。

ただ、普段幸せいっぱい(に見えて)も凄まじい量のお宝を抱えている人がたくさんいることを知って、大人の底知れなささに慄きました。

その人がどんな経験をして、どう乗り越えていったのか。どんな選択をしたのか。偉人でなくとも有名人でなくとも、本当に普通に生きている市井の人々がいかにたくさんのお宝を、静かに胸にたずさえて生きているのか。

そんなことを知ることができたような気がします。普通に考えれば当たり前なんですけど、当たり前のことほどエウレカ!すると感動するのかもな、なんて。そんなこんなで骸骨は荒れた海の中、周りの方々の温かさに触れ、アホほど涙を流し生きています。

そしてきっとこの宝はいろんな人からのバトンのような気もします。遺産、レガシー。時代時代によって、個人個人によって経験は違えども、それに対峙する人間の気持ちは同じ……だったりするのかな。きっと、すると思う。するといいな。

私も人に分け与えることのできる人間になりたいと心の底から思いました。現在の船の転覆も愛を持って対処したい……と思う自分と、子どもみたいな自分があべこべないまぜになって、人生って本当に難しい。死んだら怨霊になるのかもしれないけど、生きながら怨霊になるには、人生は短すぎる。

浅瀬には浅瀬の素晴らしさが、深海には深海の素晴らしさがそれぞれあります。

不幸は避けられない。でも不幸の深度が増せば、人生の深度も増すような気がします。酸素は少なくなるし圧力もかかるけど、美しい未知の景色や未知の生き物が待っているのかも。

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