見出し画像

未来はすこし明るいと思えた、『ミス・ターゲット』最終話を終えて

日曜よる10時に放送されていたドラマ『ミス・ターゲット』。

毎週日曜日の夜を、明るくも切ないラブストーリーで彩ってくれていたこのドラマもとうとう最終話が放送されてしまいました……

前回(第8話)までの感想はこちらで記しましたので、よろしければお読みください。(なんとドラマ脚本家ご本人様にXでシェアいただき、たくさんのミス・ターゲットファンの皆さまにお読みいただけて嬉し恥ずかし光栄の極みでございました)

昨晩、最終話をリアタイ視聴し終えたわたしは、Xに感想をポストしようとしたものの、幸福感に満たされすぎて「良すぎ」の3文字しか出てこない状態だった。短文でしっかり感想をポストできる人たち文才ありすぎるだろ……

というわけで、大好きなドラマ『ミス・ターゲット』最終話から一夜明けたものの興奮冷めやらぬ気持ちですので、感想を記します。(以下、最終話のネタバレを含みまくってます。まだ完結されていない方はTVerで最終話をご覧になってから読みに来ていただけるととっても嬉しいです!)



愛される主人公を作る、見守る人たちのあたたかさ


主人公のすみれと宗春(以下、和菓子屋さんと呼びます)のお互いを想いあうあまりすれ違う姿をずっとそばで見守ってきた人たちがいる。すみれの師匠と和菓子屋さんの父だ。最終話でのこの二人の姿と言葉がとても印象的だった。

和菓子屋父は、かつて自分が逮捕した結婚詐欺師であるすみれを忘れられない息子の気持ちに気付く。「そんな女忘れろ!二度と近づくな!はやく萌ちゃんと結婚しろ!」とか言ってもおかしくない状況だけれど、そうはならないのがこのドラマ。

和菓子屋父は、すみれの師匠のもとを訪れ、すみれがなぜ結婚詐欺師になったのか、どんな女性なのかを知ろうとする。そして、亡き妻(和菓子屋さんの母)の言葉を想い出しながら、息子を見守ろうと決意する。頭ごなしに反対したり、自分の価値観から外れたことを全否定するのではなく、まず知ろうとするのだ。大切な息子の生き方を肯定するために、自分で知って考えて、その上で描きたい未来を描かせて肯定する。素敵すぎる父。好きだ!

そしてすみれの師匠は、これでもかというほど、すみれの背中をすみれの幸せに向かって押しまくる。和菓子屋さんのことを想って身を引こうとするすみれに、嘘を重ねてきたことを負い目に感じているすみれに、その都度しっかり向き合って言葉をかける。「嘘の先にだって幸せはある」という言葉ですみれの背中を優しく押した師匠。かつてこの人に助けられたから、すみれは嘘を重ねても愛に溢れた優しい女性として生きていられるのだろうなと思う素敵なシーンだった。


萌の切なすぎる告白と説得力ありすぎる後押し


すみれが東京を離れることを知ってもなお、うじうじしてしまっている和菓子屋さん(そんな姿も愛おしい)。

そこに現れるのだ。覚悟を決めた顔をした萌が……

萌は、和菓子屋さんに自分の気持ちを伝えた。物語としてはふたりがふたりで過ごした時間は短いものだったが、ふたりは3年の月日を手を取り合って過ごしていた。(と思う。第8話のあの名シーンで丁寧に回想されていたおかげで、わたしのなかで3年間のふたりの軌跡は想像済み)

それでも萌は、和菓子屋さんがすみれのことを想い続けているのを理解したうえで告白した。萌自身の気持ちを噓なくまっすぐ伝えたうえで、「自分の気持ちに嘘つかないでください」と和菓子屋さんの背中を押す。こんなに説得力のある後押しはない。すごいよ萌ちゃん……

そして、和菓子屋さんはすみれのもとへ走り出すのだった。

(このシーンで最高のタイミングで流れた、家入レオさんの歌う主題歌『ワルツ』のオーケストラバージョン(?)が良すぎるのだ……歌詞はないのに歌詞で表現されている切なさが心にぐんぐん迫って来る最高のアレンジで涙が出た。)


やっと自分の気持ちを優先してくれた、愛に溢れた優しくて強いヒロイン・すみれ


最終話の序盤、自分の気持ちを押し付けたことを謝る轟にすみれが言った「自分の気持ちを優先できるのは自分しかいませんから」という言葉。そう言ったすみれは、すこし寂しそうな表情に見えた。

思えば、すみれはずっと自分の気持ちを優先していなかった。亡くなった母の復讐のために結婚詐欺に手を出し、その後も悪いお金を稼ぐ男から騙し取ったお金を、自分と同じようにお金で苦しむ子どもをなくすためにと寄付をしていた。和菓子屋さんを好きになってからも、ずっと彼のことを想って行動していた。結婚詐欺師らしからぬ、自分の欲にまみれていない愛に溢れた優しくて強いヒロインだった。

だからこそ、最後に自分の気持ちを優先して東京に戻り、和菓子屋さんの気持ちを受け止めて幸せになるために踏み出したすみれの姿が切なくて、嬉しくて、泣いた。(すみれの美しい涙が見れないくらい泣いた)


未来はすこし明るいと思えた日曜の夜


結果的に、みんな前向きに生きていけるハッピーエンドだったと思う。半年後、すみれも萌も、和菓子屋さんも、和菓子屋さんのパパも、和菓子屋さんの幼馴染も、居酒屋の夫婦も、すみれの師匠も、来世でも幸せになれそうな八嶋さんも、その子分も、みんな前向きに生きていた。

第7話でのすみれの出所後のシーンで一万円札が福沢諭吉から渋沢栄一になっていたことからも示されていたように、すみれの出所後からの物語はわたしたちがいま生きているこの瞬間よりも未来の話だ。

ということは、未来にはあんなに優しくて明るい物語があるのかもしれないなと、最終話を観終わってふと思った。

フィクションだということは重々承知の上で、気持ちが落ち込みがちな日曜夜に、すこしでも明るい未来に想いを馳せて眠りにつけるなんて、ドラマってすごい。

ミス・ターゲット』最後まで観てよかった。大好きなドラマでした。



でも終わるのはやっぱり寂しい!どんなにおもしろくて楽しんだドラマでも3ヶ月で終わるのだ。来週日曜夜にもうないのは分かってる。分かってるけど!!あーーー寂しい!!!続編希望!!!!

この記事が参加している募集

#テレビドラマ感想文

21,700件

#ドラマ感想文

1,572件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?