マガジンのカバー画像

詩集「声を聞かせて」

144
あなたの声をきかせて。 そしてこっそり私の声をきいて。
運営しているクリエイター

2020年8月の記事一覧

忘れたいくつかのこと

.
いつか交わした約束は
泡沫の隙間に
落ちて
沈んで
そうして 忘れた

嫌われたくないとか
もう
そんなことは
どうでもよくて

あなたの声すら
どこか遠い
他人です

陽炎

.
夏の陽炎
真上の太陽
後悔が揺れる
クラクラと揺れる

言いたいことは
何一つ
残せずに

私を知って
わたしをしって

ひとつでも
いいえ、ひとつ残らず

真夏の夢
後悔が
揺れる 揺れる ユレル

閉じていく夜の始まり
あなたはどこへ
私はどこへ
ふたりはどこに

たった一言
望まれた言葉を渡せば
なにか
変わったのだろうか

不器用な恋は
好きだとも言えずに