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詩集「声を聞かせて」

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あなたの声をきかせて。 そしてこっそり私の声をきいて。
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2020年7月の記事一覧

幸福なのだと、知る

.
あの人の寝息が部屋中に溢れて
私は今
幸福なのだと、知る

なのに
明日は
明後日は
そのまた次の日は
なんて
不透明な感情が
回る まわる 廻る

それでも
それでも
痛みを抱えたまま
私は今
幸福なのだと、知る

.
もうやめにしましょう

その恋しさは
ただの寂しさ

思い出は
美化されてしまうもの

もうやめにしましょう

赤い運命なんて
どこにもなかった、の

たった一度

たった一度

.
たった一度だけの口づけを忘れるには
どうしたらいいのでしょう

たった一度だけの重なりを
なかったことにするのは
どうしたらいいのでしょう

雨に隠れて
こっそり教えてください

ねぇ、