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写真詩集

57
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2018年10月の記事一覧

雨の日

濡れた肩
冷えた優しさ
温めもせずに
今日の輪郭を
指でなぞる

窓を伝う雨を
ずっと
眺めていた

あなたに
伝えるはずの言葉を
持て余したまま

ずっと
ずっと

忘れて

友達以上恋人未満
あなたの背中が遠くて
あなたの背中に触れたくて

それでも
あの日の告白は
どうか忘れて

おとぎ話は終わったの

途中

まだ夢の途中
あと少し
もう少し

だから
まだ
好きだと言わないで

待って
待って
もう少し
あと少し

空席

忘れられた約束
ひとりきりの涙

少し思い出して泣いて
少し思い出して笑って

あの痛みも
あの涙も
今はもう友達

私のための空席

決断

まるで
夜を忘れたような空でした
秘密の話すら
簡単に
打ち明けてしまいそうな夜でした

泣いた日々も
傷つけあった日々も
抱き合った日々も
もう、遠い記憶

さようなら、と呟いて
前を向くための夜でした

九月の晴天

上手くなったのは
涙の誤魔化し方で
上手な甘え方は
もう、忘れてしまった

広がる雲を眺めては
あなたの背中ばかり
思いだしている

あなたの横顔ばかり
思いだしている