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骨折した右手に助けられた話

恋人はキックボクシングをやっています。
私はもともと格闘技に全く興味がなく、ルールもさっぱりだったのですが、恋人の影響で少しずつ見始めて「面白いな」と思うようになりました。

恋人は、私と付き合い始めた頃にプロデビューしていて、先日の試合がプロ4戦目でした。
結果は2RKO負け。恋人が倒れる瞬間は息ができませんでした。一応自分の足でリングを降りたものの死ぬほど心配で、それに、毎日練習に行く恋人を隣で見ていたので私まで悔しくて、最後まで見ようと思っていた大会でしたが途中で会場を出てしまいました。

試合前は基本的に1週間ほど恋人は実家に帰るので、しばらく会わない期間があります。だから余計に会いたかったのですが、次の日予定があったらしく、結局私が会いに行く形で少しだけドライブしました。

言いたいことはたくさんあるのに、不安だったし、心配だったし、寂しかったし、会いたかったし、励ましてあげたいし、でも上手く言葉にできなくて終始無言のまま恋人の実家に到着しました。

帰り際、私の気持ちを察したのか、恋人がハグをしてくれました。その瞬間いままで張り詰めていた糸が切れたかのように、私は泣いてしまいました。本人が一番悔しいのに、私の方が大人なのに、私がハグしてあげる側のはずなのに。安心感とか情けなさとかいろんな感情でしばらく止めることはできませんでした。

そんな私を恋人は何も言わずに受け止めてくれて、試合で骨折した右手で私の頭を撫でてくれました。この人は、なんでこんなに優しくて温かくて素敵な人なんだろう。私はこの時に、この人の一番近くで生きていきたいと心の底から思いました。

恋人と喧嘩をしないかと言われると全然そんなこともないし、小さなことで怒ったり、合わない部分だってもちろんあります。それでも、そんなことどうでもよくなるくらい、恋人には生きててほしいと思いました。

自分でも上手く気持ちが説明できなくて、まだ頭の中はごちゃごちゃしたままですが、今感じているこの気持ちだけは書き残しておきたかったので、まとまりのない文章になりましたが、とても素直な今の気持ちです。

怪我をしてしまってしばらくは練習もできないので、のんびり過ごすと恋人は言っていました。これからのことはまだ何も聞いてないですが、負けず嫌いな恋人のことなので、また試合をしたいと言うと思います。自分の好きなことをがむしゃらにできる恋人が本当に誇らしいし尊敬しています。私はあなたがもう満足と言うまで、ずっと隣で見守っていられればいいなと思います。

直接なかなかいえないけど、心の底から愛してます。
同じ時間を生きていてくれて、ありがとう。これからもよろしくね。


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