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2017年6月の記事一覧

▽ 知らない世界3(ずっと傍にいられると思った)

それでも、彼女は言葉を紡ぐ

「あのね」

「…はい」

「あたし、君が入学したときから好きだったの

ハンカチ落としたのを届けてくれたの覚えてる?あのときちょっとした一目ぼれしたわ。それから図書館に行くと、何時も見かけたからついつい入り浸ってしまって」
彼女は俯いてそのまま話し続ける
同時に足が少し、少しだけ透けてきていた

「…思い出しましたっ」

「えっ?」

「黒い髪の人にハンカチ、渡した

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知らない世界2(叶わないのは承知の上、せめて少しだけ期待させて)

屋上、とある一角だけ死角となってる場所がある
それ以前に相当な物好き以外屋上に人が来ないという珍しい学校だった

「ところで、なんで沙夜さんは幽霊に?」

「えっ……そうね、言ってなかったわね」
座っている優の目の前で彼女は立ち上がってくるっと背中をこちらに向けた
ワンピースがふわりと舞う

「あたし、実は階段から突き落とされて死んじゃったの。向こうはあたしが気に入らなかったらしく、ちょっとした冗

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知らない世界1(彼の、聞き慣れた声、わたしを呼ぶ声)

「もう…なんですか」

一人の男が寂しそうにそう言った
重い、重い空気の中で発せられた一言

「えぇ…ごめんなさい」

男から少し距離を離した女性が俯きながら言った
表情は見えないが、あまり良い顔をしているとは言いがたかった
風が女性のスカートをふんわり持ち上げた

「まっ……」

***

2時すぎ、学校でよく聞く授業終了のチャイムとともに学生が次々と帰る支度をしていた

「あー、やっと終わった

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