病院(200床以上)の集患支援事例

200床を超えるC病院は、看護部や医事課だけでなくスタッフ全体の意識が非常に高い病院ですが、病床稼働率が80%前半で伸び悩み空床対策が課題となっていました。
C病院は救急搬送の受入件数も年間1800件ほどあり、救急受入依頼のお断り件数は0件に近い状態で稼働していましたが、車で40分ほどの距離にある同規模のライバル病院の影響が大きく、患者が増えない要因となっていました。
ライバル病院も意識が非常に高く救急搬送なども積極的に受け入れていたので、C病院とライバル病院の間に住んでいる患者様はどっちでも選べる非常に良い環境でした。
このような環境でも病床稼働率を上げる方法として、C病院では在宅療養後方支援病院を取り組むことになりました。

在宅療養後方支援病院とは、200床未満の在宅を担当している医療機関が訪問診察を行っている患者の急変時にC病院のような200床以上の病院が入院治療を行う制度です。
主な施設基準は、
・許可病床数が200床以上。
・在宅を提供する医療機関に24時間連絡を受ける担当者や部署、連絡先を文書で提供。
・訪問診察を受けている患者が緊急時に当院に入院を希望する場合で、当院の受け入れ体制について説明。
・当院で、緊急時の入院を希望されている患者の病床を常に確保。もし、満床により受け入れできない場合は、他に入院可能な病院を探す。
・連携医療機関との間で、3月に1回以上患者の診療情報の交換が必須などの施設基準があります。

C病院にとっては常に空床が発生していて、地域の在宅対応医療機関からの緊急時の受入をすでに行っていたので在宅療養後方支援病院の届出ハードルは決して高くなく院内からの反対意見もありませんでした。

C病院が在宅療養後方支援病院を取り組むメリットとしては、
緊急時の受入により在宅患者緊急入院診療加算2,500点を人員追加不要で算定できるため、真水の増収が期待できること。
他にも、緊急時の搬送先を患者の同意によりC病院に指定できるのでライバル病院に患者が流れることを阻止し、在宅対応医療機関との連携強化にも繋がるので緊急時以外の紹介・逆紹介件数の増加にも繋がります。
連携対象の在宅対応医療機関は特別な関係性でも問題ないので、法人内の在宅対応しているクリニックから始めることができるというメリットは非常に大きかったです。

C病院では、法人内のクリニックから連携を開始し、救急対応スタッフや連携担当の業務負担に問題がないことを確認したうえで、看護部や連携室、医事課の主要メンバーから地域の在宅対応医療機関に連携調整を行い連携先の枠を拡大しました。
在宅療養後方支援病院は、緊急時の受入で算定可能な在宅患者緊急入院診療加算2,500点だけでなく、地域の在宅対応医療機関と共同で訪問診療を行うことにより在宅患者共同診療料も算定可能です。
C病院では積極的に在宅患者共同診療料に取り組んでいないので算定件数は増えていないですが、地域の在宅対応医療機関のバックアップ体制を実現することができたので患者や地域の医療機関から重宝される結果になりました。

また、C病院の救急搬送件数は年間1,800件近くで稼働していたので、2020年の診療報酬改定で新設された救急搬送件数が年間2,000件以上の実績が必要になる地域医療体制確保加算は運任せの状態でしたが、在宅療養後方支援病院の取り組みにより救急搬送件数も右肩上がりになったので狙える可能性がでてきたこともメリットでした。

C病院では、病床稼働率を高める為に看護部や事務部中心で地域の医療機関を巻き込む取り組みで多様な付加価値の創出に繋がりました。

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