地方自治体の広報課は、広報誌の発行が目的の部署ではない。

今回は地方自治体の広報課(広報担当部署)の役割について考えてみたい。

広報課の役割として、まず挙げられるのが「広報紙(誌)」の発行である。
これは広報課の主要な業務であり、時間も多く割かれている。
一方で、それが目的化してしまっている地方自治体も少なくない。

この状況は地方自治体の規模の大小によっては異なる。
広報担当部署で20人以上の職員を抱えるような大規模自治体であれば、様々なメディアでの広報・広聴活動を展開できる。一方、人口が数千人の場合、広報課自体が存在せず、総務課などのなかに広報係が存在する場合が多い。場合によっては一人で広報を担当する「一人広報」も有り得る。

後者の場合は、広報の本来の役割が矮小化され「広報誌を作ることが広報の目的」になっている場合が少なくない。

これは「手段」と「目的」の混同である。

広報誌の発行は、地方自治体の広報活動が本来果たすべき目的を実現するための「手段」に過ぎない。地方自治体の広報活動は「良い広報誌を作ること」が目的ではない。

それでは、地方自治体の行政広報の目的は何か。

その一つとして以下考えているのは以下である。
地方自治体が総合計画などを策定し、目指す「ありたい地域の理想像」を、広報・広聴活動というコミュニケーション活動を通して実現することであろう。

地方自治体の広報部署はそれを担う「総合コミュニケーション本部」だと私は考えている。広報誌の発行はその総合コミュニケーション本部の持つ機能の一つに過ぎない。もちろん、自治体の規模が小さいがため、本部が「一人広報」になっている場合もあるだろうが、基本的にはこうあるべきではないか。

様々な調査からも、未だに広報紙は地方自体体の主要メディアであることは確かであるが、それだけに矮小化されてはならない。

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