横の流れ

ああ、川の上を東西線で走っていく
横書きの文章のように

縦の文章は、昔からあった
この国では人は言葉は天から降りてくるものというイメージを持っていた

そして雨のように、地に染み込み
地から得た食べ物を通して人の心の奥から
また湧き上がってくるのだと

地下に電車は潜っていく
横書きの文は顔を出さない

こんなにも早く地中を移動できるようになったのは
心を掘ったから
そして、できた道をたくさんの人が通うようになった

生まれた場所は生きる場所ではなく
生きることは生まれた場所以外のどこかへ向かうこと
そして自分を探す人
未知なる土地で、名誉を手に入れた旅芸人はそう歌っていた

後ろ向きに通り過ぎていく
私は電車に運ばれて
そして小型端末で文字を打ち込んで

ときどき進み
ときどき止まる各駅停車で
人が入れ替わり立ち変わる
ある車両で

後ろ向きに言葉を探している

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