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【夢日記】白と灰茶

以前探索した自動車一台分ほどの幅の隧道は、現在は地元住民の抜け道として使われているようだった。その横にもうひとつ、こちらは作業用に併設された、自動車が入ることを想定していない、狭い隧道があった。今日はそちらを通ってみることにした。

白い鍾乳石のようなつるりとした質感の隧道を抜けると水の流れる音が聞こえた。上流から来た水が3つほどの段差を流れ落ち、小さな滝になって流れる音であった。こちらもやはり白い鍾乳石のような質感の段差はアルファベットのCの形になっており、隧道を出たところに小さな明るい広場を形作っていた。広場を左に抜けると崖になっている。そこからは街と駅前が見渡せた。

その街はニュータウンだったようで集合住宅があちこちに建っており、古いデザインのベランダがたくさん見えた。しかしそれらの灰茶色のベランダ柵は無機質で、不気味さにゾクッとした。
後から来た母が昔この辺りに住んでいたというので、この眺めがすごいと言うと、左手に見える大きなマンションはもう人が住んでいないと言う。
いくら心を動かされた風景といえど、住人のいるマンションなら写真を撮るのをやめておこうと思っていたが、誰も住んでいないのなら大丈夫か、とシャッターを切った。

夕暮れを背中に受けて暗い廃マンションはさらに暗さを増し、生の気配を一切感じさせないまま造形の美しさだけを残していた。

(2024.2.17)

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