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【夢日記】殺し屋の責任

中年の女が殺してほしいと言いにくる。

裸の女を壁際に立たせると、細い矢のようなものを胸のやや右寄りに突き刺した。その場に倒れこみそうになるのでガムテープで固定する。
女にわたしを紹介した相方が、すぐ横で一部始終を見ている。わたしはその相方を恐れているほどではないが、やりにくさを感じている。

女はなかなか死なない。傷が小さすぎて、流れ出る血が少ないのだ。このまま傷がふさがれば、この人は生きてもいいのではないかと思う。
女になぜ死にたいと思ったのかと尋ねる。息子が就職に失敗して自殺したからだと答えが返ってくる。
近しい人を亡くした人間にかける言葉をわたしは持ち合わせておらず、ただ胸から血を流してうなだれる女を見ていた。
しばらくして相方が部屋を出て行った。女の傷口は肉が盛り上がり、この先癒えていくだろう。わたしはガムテープを剥がし、女を背負った。

血はもう乾いていた。

(2018.3.7)

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