出身地ではないけれど、大学卒業後およそ10年近く暮らした東京の街が思いのほか好きだと気付いたのは、不可避の京都転勤が決まったあとのこと。
引っ越しが近づいたある日、池袋方面に向かって走る山手線の窓の外をつり革につかまって眺めながら、こんなに家が密集していて、人が溢れていて、路肩にゴミが溜まっている、決してきれいとは、美しいとは言えないこの街を離れるんだと改めて思ったとき、胸が痛くなった。その雑多な何者かを受け入れる寛容さに心地よさを感じていたのだと思った。そしてそれは都会の持つある種の美しさであり、今も私はそれに惹かれているのです。
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