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【小説】My dream, my shop #3
「ぴょんきーちー!」
幼稚園児たちがガラスの向こうから手を振っている。それに反応するように看板うさぎのぴょんきちが耳をそばだてる。
「ぴょんきち〜」「ぴょんちゃーん」「うさぴょん」
二列に並んだ子どもたちからの挨拶。
「あ、オレの家にこの本あるよ〜」
「わたし、トトロすきー!」
賑やかな一行はワイワイと公園へと散歩に出かけていく。
そう、子どもたちに親しまれているぴょんきちは、うちの本屋の看板うさぎとして週2日”出勤”しているのだ。
最近でか、それともうさぎの露出が増えたからか、周りには結構うさぎを飼っている人が多くいることがわかった。近くの公園で”うさんぽ”をしているのも見たことがある。
「ぴょんきちー、人参の葉っぱ持ってきたよ」
この方は、本は全然読まないんだけど、うさぎを飼っている仲間として度々訪れてくれる。
「佐々木さん、ありがとうございます。もううさぎと暮らす読みました?吉田さんのところのミミちゃんが誕生日ページのところに載ってましたよ」
「ほんと!帰ってじっくり読まなくっちゃ。じゃあね、ぴょんきち」
本は読まないんだけど、うさぎのことになるとすんなりと入っていくみたいで、今日も出たばかりの雑誌を持ち帰っていった。
ぴょんきちがいるようになってから、本屋はより賑やかになったようだ。
小さな本屋に、時々お花。そして一角にうさぎがいる。
なんだか、自分らしいお店ができつつある。
もう冬は目の前だ。そんなひんやり乾いた風が通り抜けていくのを感じてふと思った。
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