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149:そこにはフラットな平面しかない

ルーカス・ブレイロックの写真集「WINDOWS MIRRORS TABLETOPS」にあるPhotoshopで加工された写真に触れてみる.そこにはもちろん,風景や人物などを写した写真と同様に凹凸はない.Photoshopで重ねられた複数のレイヤーが前提となった作品で,もとの写真の上に重ねれているのか,それとも下のレイヤーに配置されていて,もとの写真の一部が消しゴムツールで消されているのか,わからない部分に触れてみると,そこはやっぱりフラットである.

写真はフラットでしかない.見ていると凹凸を感じたり,遠近を感じたりするけれど,触れるとフラットである.厳密にはインクの凹凸があるのだろうが,それは多くの人が感じ取れるものではない.だから,写真は人の感覚にとっては,触覚にとってはフラットと言えるだろう.見えているときの凹凸,遠近に触れても,そこにはフラットな平面しかない.これもまた,写真を考えるとき不思議なことではないだろうか.


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