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202:2つのデジタイザーを用いて1枚のパネルとして振る舞う方法を新たに開発

研究では、折りたたみに耐えられるようデジタイザーの柔軟性を高める方法ではなく、2つのボディそれぞれにデジタイザーを配置するという発想にたどり着いた。ワコムとの共同開発で、2つのデジタイザーを用いて1枚のパネルとして振る舞う方法を新たに開発。2つのデジタイザーで検知した信号を計算して、誤差を押さえつつ、折り目上での座標を認識できるアルゴリズムも開発した。

ケータイ Watchの「「Galaxy Z Fold3 5G」、折りたためるディスプレイでもSペンが使える理由」からの引用.

折り畳める平面はつくれないから,ふたつの平面を設置して,その「隙間」で起こる行為は,ソフトウェアで予測して,補完してしまうという発想が興味深い.ヒトの網膜でも「盲点」のところには視神経がないから,外界からのデータはなくて「空白」になっているけれど,私たちの視野は通常「空白」は見えない.なぜなら,意識が「空白」の存在を予測して,それを消去するように視野を形成しているからという話と,このデジタイザーの話は似ていると思った.

物質的には実現が難しいことでも,ソフトウェア=意識による情報処理とハードウェアを適切に結びつけることで,実現したい理想の平面が出来上がる.適切な処理ができるアルゴリズムも重要だけれど,折り畳める平面を実現するために,ひとつの平面にこだわることなく,ふたつの平面を組み合わせて,アルゴリズムによってひとつの平面に見せてしまう.ユーザにとってはモノとしてはない平面だけれど,情報のみで実現された平面=錯覚としての平面をモノとしていひとつの平面にしてしまうという発想に切り替え変えて実現しているのが,今の時代のものづくりだなと感じた.

逆に,ソフトウェアをなくして,物質を適切に配置することで,情報が適切に処理されて,現象が生まれるということもあるのかもしれない.


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