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051:「感覚が空回り」した感がそこに漂っている

iPadにApple Pencilでメモを取り続けるといつも不思議に思う.紙とペンとでメモを取っているときには書いた分だけ,紙が増えて,机の上に散らかって行ったり,重ねられたりしていくのに,iPadとApple Pencilでは,いくらメモを取っても,そこにはiPadとApple Pencilしかない.もちろん,iPadが表示するメモ帳は紙の量が増えるように,メモを取った部分が付け足されていきスクロールの量が増えている.けれど,モノとしては何も増えていない.メモを取ったと言う行為の感覚だけは残っているが,モノは感覚と関係することなく何も増えていない.「感覚が空回り」した感だけがそこに漂っている.Appleのウェブページでは,​「感覚の空回り」を示すかのように手が影ぽくなり存在感が薄くなっている.

キーボードでテキストを入力するときにも同じことが起きているけれど,こちらではあまり感覚が空回りした感じはない.文章を書くと言うことが「ボタン入力」と言う最小化された行為となっているから,紙とペンとでメモを取る行為とは異なり,コンピュータに最適化した行為になっているからだと考えられる.紙とペンとでメモを取る行為はコンピュータに最適化しているわけではなく,コンピュータをこちらの行為に合わせている.だから,これまで通りの感覚で行為を行うと,行為に伴うモノの痕跡がついてこないために感覚だけが蓄積されるために違和感が起こる.

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