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061:ISSEY MIYAKE SPRING SUMMER 2019でのスクロールのインタクション📃

ISSEY MIYAKE SPRING SUMMER 2019 のウェブページのスクロールの表現が気になっている.ページをスクロールすると布のようにグニャとする,ということだけなんだけれど.

ウェブ「ページ」と書くように,ブラウザのウィンドウで見せるウェブは「紙」のメタファーで扱われてる.「紙」と言っても使い古されたものでなく,新品のシワひとつないものが想定されている.ウェブページにはシワがない.シワをつけないためかどうかはわからないけれど,ウェブページはめくられることがない.ウェブページはスクロールされる.巻かれた紙である「巻物」を見るように一枚の長い髪をスクロールしていく.私は巻物を見たことがないけれど,巻物で見ているところはシワひとつなく伸ばしてみるだろう.だから,スクロールしてみるウェブページにはシワがない.

そんなウェブページがISSEY MIYAKE SPRING SUMMER 2019では,シワシワ,グニャグニャにされてスクロールされしまう.もちろん,シワシワ,グニャグニャになるのはスクロール行為されるページであって,次に見るページにはシワはない.

スマートフォンの画面上を指でスクロールするとき,パソコンでマウスやトラックパッドを使ってスクロールするとき,それぞれで感触が微妙に異なるのだが,やはり指でスクロールするときが一番しっくり感じがある.しかし,マウスやトラックパッドでもちょっとした違和感がある.

ISSEY MIYAKE SPRING SUMMER 2019のページをスクロールし続けていると,普段見ているウェブページがどんな質感なのかを,あまり考えてこなかったと思ってしまう.「ページ」のメタファーに引きづられて,あるいは,メタファーなしでも,マウス,トラックパッドにおける指に行為に連動して,もしくは,指と画面とのダイレクトなインタクションにおいて,ウェブページは硬いサーフェイスだと思い込んでいたのではないか.ウェブページにはもっと異なる質感があるのではないかと考えてしまう.

普段の生活で紙を扱っているときにシワひとつつかないほうが珍しいのだが,ウェブページだとシワひとつないことが当たり前になっている.ウェブページに物理世界の紙と同様にシワをつけるインタラクションは,モノの質感を画面世界に持ち込むわけだけれど,この流れはGoogleのマテリアルデザインと通じる部分がある.しかし,ISSEY MIYAKE SPRING SUMMER 2019でのスクロールのインタクションにはマテリアルデザインにはないダイレクトさがある.率直に物理世界を画面の中に持ってきてしまった感じがある,この率直さは,iPadとApple Pencilによる物理世界で行ってきた描画行為をそっくりそのまま画面にコピーしたインタクションに近い感じがある.一足飛びにiPadとApple Pencilのインタクションに行く前に,電子書籍におけるインタラクションでの「ページめくりのアニメーション」との比較をすべきかもしれない.

ISSEY MIYAKE SPRING SUMMER 2019のウェブページでのインタラクションを起点に,「インタクションにおける映像の物質的質感📃」を何回か考えてみたい.

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