FPの復習(遺言 自筆証書 公正証書 秘密証書)2

今回は前回の遺言書のパート2と言う事で
遺言作成に際しての補足事項をまとめました。

前回記事のまとめ

以下の表にまとめました。

普通方式遺言3種類について

証人について

公正証書遺言、秘密証書遺言には証人が2人以上必要となります。
「証人」は誰でもなれる訳ではなく、きちんとしたルールがあります。
ルール違反にならない為におさらいしておきましょう。

証人になれない人

  • 未成年者

  • 推定相続人・受遺者及びこれらの配偶者・直系血族

  • 公証人の配偶者、4親等以内の親族、書記、使用人

ややこしい書き方ですが、親族はほとんどなれないと思っていいでしょう。
ただし、「兄弟姉妹」については「直系」では無いので、
推定相続人に該当しなければ証人として立てる事が出来る事は抑えておきましょう。

誰が証人になる?

実務的には「弁護士・司法書士等の士業」「知人」「公証役場に依頼」と言うところが多いでしょう。
この場合、知人以外の選択であれば依頼する際に費用が掛かる為、留意する必要があります。

検認について

相続が開始となり遺言書を自宅等で発見した場合は「検認」が必要となります。
よく間違えるところになりますが検認はあくまで「遺言書として体を成しているか?」を確認する事になりますので、「遺言書の内容の法的な効力」については確認されません。
その為、中身によっては遺留分を無視している可能性があるので注意が必要です。

また、令和2年より「自筆証書遺言保管制度」が開始されました。
これを使う事で自筆証書遺言でも検認不要で保管できる為、安心して遺言を用意する事が出来ます。

自筆証書遺言保管制度

令和2年7月からスタートしたこの制度。
法務局に遺言書を保管する事で紛失のリスクを無くし、安心して遺言書を用意する仕組みです。

特徴

  • 遺言者の住所・本籍地・所有不動産地の所轄する法務局に申請する。

  • 申請は本人が行う。

  • 本人が提出した法務局に直接出向くことで遺言の撤回は可能。

  • 相続開始後、法務局が相続人に通知を行う。

  • 保管申請時は無封の状態で保管依頼をする。

無封の意義

法務局は遺言書の受領時に外形上問題ないかのチェックを行います。
この作業が実質的に「検認」に似ているため、この制度を利用した際、検認が不要となっています。
ここでも注意が必要なのはあくまで「遺言書としての体を成しているか?」の確認であるため、法的な有効性については専門家へ相談を行うと良いでしょう。

一方で遺言者としては預ける事で紛失のリスクを無くし、外形上問題ない遺言を保管する事が出来るので精神的にも安心しておける制度となっていますね。

各制度の利用状況

自筆証書遺言

自筆証書遺言については金庫で保管している場合、統計上取れるデータはありませんが、自筆証書遺言保管制度の利用率については年間2万件程度となっておりますが、こちらは年々利用者数が増えており、今後30万件程度を見込んでいるというデータもありました。

公正証書遺言

公正証書遺言については令和3年時点で利用者数は11万件程度となっております。
きちんとした手続きを踏んでいるので安心ではありますが、費用負担を考えると今後の利用状況は伸び悩んでくるかもしれませんね。

秘密証書遺言

秘密証書遺言については年間の利用件数は100件程度とかなり少ないです。
手続きが面倒なうえに検認も必要となっていますから、あえて利用しようとなるケースは少ないのかもしれません。
余程、内容を知られたくない場合、でないと正直使いづらいのは事実ですからね。

まとめ


今回は遺言書の細かい論点についてまとめてみました。
まだ若いので、と言う事で遺言書なんて準備してませんが、最近は早くから準備している方もいるそうなので自分が亡くなってからの事も考える必要があるのかもしれませんね。
色んな制度がありますが、まずは身内でトラブルにならないように普段から平穏に暮らしていきたいですね。

今回はここまで。

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