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【海外の思い出】宿泊場所への道のりがほぼ脱出ゲームだった話【香港】

冬休みに日本に一時帰国した時の事。
※このnoteはおすすめスポットの紹介でもライフハックでも無く、ただただ自分のカオス体験を開陳するものなので、Twitter何回リロードしても読むものがなくなった時とかに読んでください。

海外長期滞在者あるある「もう無理全てが無理すぎる早くおうち帰りたいよぅ🥺🥺」ゾーン真っ只中で、やっと日本に帰れるぞ!!!!スシ!テンプラ!ウドン!!だし巻き卵!風呂吹き大根!揚げ出し豆腐!!豚骨ラーメン!!資さんうどん!!!!(溢れ出す出汁への懐古と地元愛)

生活必需品と家族友人へのお土産でパンパンに膨らんだクソデカスーツケースを転がして中国を出て、当たり前にGoogle・LINE・インスタが使える世界に入った時の感動と言ったら……
(高速鉄道が中国と香港の境目を超えた瞬間から全部使えるようになって感動した)

デカいスーツケースを転がしてはいるものの、貧乏旅行上等のバックパッカーメンタルだったので、「駅からそこそこ近くて迷わなさそう」「治安あんまり悪くなさそう」「部屋の清潔度が日本人的に許容範囲そう」「安い」を重視してシングル個室のホテル(ゲストハウス?)の中でも中の下くらいのランクのホテルを予約しておりました。

高速鉄道西九龍駅から徒歩20分って予約サイトに書いてあったので、それを信じて歩きました。
20キロオーバーのスーツケースを転がして歩く距離じゃないんよ。スーツケースちゃん、無理させてごめんな。
1月とは思えない意味不明な暑さ。そうよ、私は晴れ女!!!!!!
暑くて喉が渇いても、中国の完全キャッシュレス生活に慣れきっていたので香港ドルを持っていませんでした。コンビニとか寄る前に、とにかくホテルに行ってスーツケースを休ませてあげたかったんです。

そして40分ほど歩いてやっとそれらしき建物に辿り着きました。
「ホントにここに泊まるんか?????どう見ても汚ねえ雑居ビルじゃねえか!!!!」
と思いながらも、ホテルの住所とビルの名前が一致しているので入りました。

狭くて古びたエントランスにはそこら辺のおっちゃんがいました。おっちゃんは多分英語が通じません。私も広東語は1ミリもわかりませんが、予約サイトの画面を見せると4階に行け!とエレベーターを指差してくれました。

ハイタワー氏の屋敷のエレベーターの方がなんぼか安全性高いんじゃないかと思えるくらいオンボロで煤けた狭いエレベーターでした。
4階まで上がるとホテルの名前と矢印が書かれた表示があります。
他にも部屋がいくつかあるようです。そちら側には何があるんでしょうか。

ホテルの名前が書かれた扉があります。鍵がかかっています。
ウィチャットとワッツアップのQRコードが示してあって、「扉を開くパスワードを知らせるのでチェックインする人はここに連絡してください」と書いてあります。周りに人はいません。クソ暑いです。
幸い日常的にウィチャットを使っているので早速友達登録しました。どう見ても「ホテル公式」みたいな業務用ではなくそこら辺のおばちゃんの個人アカウントのようでした。

「ホテルに入りたいです。入り方がわかりません(中国語)」のメッセージと予約番号のスクショ画面を送りました。
5分経っても10分経っても返信がありません。
クソ暑いです。
英語でメッセージを送ったり電話をしても反応はありません。
午後2時過ぎだったので、多分お昼寝の時間だったのでしょう。クソ暑くて脱水で死にそう、助けてくれ。

15分ほど経ったところでようやく反応がありました。
予約番号と名前を再度伝えると、きちんと予約できているようでした。
しかし「部屋はまだ掃除が終わっていません。掃除が終わったらまた連絡します(英語)」とのメッセージの後、再度連絡がつかなくなりました。
いや、どうせ今から昼飯食べて街歩きしたいから部屋は後ででもいいんですけど!!このクソデカスーツケースだけでも預かってくれよ!!!!と思いながら
「わかりました。スーツケースだけ置いてもいいですか?(英語)」とメッセージを送りましたが、返信はありませんでした。
この時点で割とイライラしてます。空腹と脱水で頭痛いし、クソデカスーツケース転がして見知らぬ道を40分歩いて疲れ果ててる上に、ホテル到着してすでに40分近く経過しています。

しかたがないので、「ハロー!!!!!エクスキューズミー!!!!」と言いながらホテルの入り口扉をバンバン叩く物理攻撃に出ました。
しかし、何も起こりません。当然です。フロントスタッフなどという存在がいないんですから。

しばらくすると宿泊客らしき韓国人のお兄ちゃんが中から出てきました。「私、日本語チョットワカリマス」と言って「荷物、ココ置いてイイデスヨ、多分」といいながらフロント横を示してくれました。そして「アー、日本語ワカラナイ…」と言ってホテルの奥にフェードアウトしていきました。
困り果てた旅人の前に現れる妖精さんだったのかもしれません。
戸惑いつつも、とりあえず荷物を置いて、いそいそと街へ繰り出しました。

ホテルのおばちゃん(仮称)には「フロントのところに荷物置いたよ!部屋の掃除終わったら連絡してね!!!!」とメッセージを送りました。
反応はありません。

そのあとのことです。
第一の失敗は、現金を持っていないことでした。
オクトパスカード(香港のSuica的な交通系ICカード)だけは手に入れていましたが、チャージ金額に心許無く、香港の物価感もよく分からず、おまけにカード内残高もいまいちよくわかっていませんでした。
いい感じの茶餐庁とかカフェで茶しばきたい気持ちでいっぱいなのに、お金が無くて詰みです。しかも意外とクレカ使えないところの方が多いです。きゃっしゅおんりー。

第二の失敗は香港の観光情報をほぼ何も調べていないことでした。
コロナ前に香港に一度来たことがありましたが、その時はほぼ空港とディズニーランド周辺しか行っておらず、もはやなんもわからん。
こんだけ発展してる大都会やし、「ネイザンロード」沿いなら観光客の喜ぶものなんかあるやろ!という甘い考えでした。

以上の2点の失敗によって、むやみやたらとネイザンロードを往復し、疲労と歩数のカウントだけを増やしていきました。

そしてようやく、確実にオクトパスカードの残高に収まるであろう金額のドリンクを手に入れました。
タピオカとか入ったミルクティーを注文するのに残高が心許無く、シンプルなハチミツプーアル茶を注文しました。

色の薄いミルクティーだとパケが映えるんだろうけど、黒いwwww

ハチミツもプーアル茶も好きなんですが、この2つは組み合わせる必要は無いと感じました。
正直に言って口に合いませんでした。
でも体は糖と水分を求めていたので、最後まで美味しくいただきました。
ていうか、香港の物価高いんよ……
日々中国で300〜400円くらいでクリームモリモリタピオカミルクティーをバカバカ飲んでいたので、物価の違いにビビりました。
このシンプルなハチミツプーアル茶も700円くらいしました。
財布の紐を引き締めました。まだ現金無いんですけど。

オクトパスカードの残高もほぼ底をつき、次のミッションは現金を手に入れることと何か食べることでした。

これが意外と大変でした。
Googleマップでいい感じのカフェを見つけても、場所がわかりません。
店内の写真がどんなにハイセンスでオシャンでもその多くは大通りに面して隙間なく並び立つ汚ねえ古びた雑居ビルの中に入っているようでした。
その雑居ビルの入り口がわかりません。それらしき入り口があってもあまりのオンボロさとウェルカム感の無さに恐れ慄いて近づくことを諦めました。次来る時は鋼の心を装備して来たいと思います。

ゴリゴリの観光地ならクレカも使えるし外人でも入りやすいやろ!と考えてかの有名なビクトリアハーバーを目指して南へ下りました。バスとか地下鉄とか乗ればいいのに歩きました。
途中でめっちゃ行列ができてる素敵スイーツスタンドがありました。クレカも使えそうでしたが思いっきり日本語で「日本発!クロワッサンワッフル!」とどこかで見たことがあるようなフォントで書いてあったので買うのをやめました。24時間後には日本にいるはずなので大丈夫です。というか高いな。とってもえくすぺんしぶです。

外国人がウロチョロするであろうモンコック(旺角)のあたりはそこら辺にATMがたくさんありました。
モンコックを抜けるとATMの姿はほとんど見かけなくなりました。
ビクトリアハーバーの手前まで行くとATMが再び現れ始めました。ここでさっさとお金おろせば良かったんよ。
でも向こうのほうから波の音と海の匂いがします。海の引力には逆らえません。何はともあれ海を見ないと何も手につかないので、お金とか食べ物とか観光とかとりあえず全部置いといて、ビクトリアハーバーを目指します。海が大好きです。

ビクトリアハーバー周辺にはいかにも観光客向けみたいな難易度の低そうな飲食店がたくさんあったので、こりゃイージーモード入ったな!と思いながらルンルンで港を目指します。

このくすみパステルカラーな夕焼け、最高

波の音を聞きながらしばらく夕陽を眺めていました。パイレーツオブカリビアン3に出て来そうなアジアな帆船が通過します。
夜景にはちょっと早い時間ですが、夕陽と海と摩天楼を見たのでもう香港は満喫しました。どうもありがとうございます。

再びATMを探して歩き続けました。
結局、地下鉄の駅に行けば確実にATMがあるという学びを得ました。
地下鉄の駅に行けばATMもあるし、オクトパスカードにチャージもできる。香港に行く予定の人は覚えておいて損はないです。

現金を手に入れて空腹が限界値を迎えていたので、目の前にあった冰室(ファミレス・カフェ的な飲食店)にとりあえず飛び込みました。
かなりカジュアルな店ですが、物価の高さにビビり散らかしました。中国の倍するやん…
とにかく、エネルギー補給ができました。美味しかったです。

ご飯の上に卵と豚肉が乗ってるやつ

そろそろホテルに帰って休みたいと思いました。
ホテルのおばちゃんから「あなたの部屋をアップグレードします。部屋番号は○号室です。でもまだ掃除が終わっていません。今日は満室なので掃除に時間がかかります。掃除が終わったら連絡します。」とメッセージが来ましたが、その後3時間経過しても何も連絡がありません。
「掃除は終わりましたか?チェックインできますか?」と1時間おきくらいにメッセージを送りましたが反応無しです。

時刻は午後7時半。普通にもう疲れたんで休ませてくれ。もう連絡待っていられないので、ホテルに突撃します。
ご飯食べて元気いっぱい勇気リンリンです。もう怖いものは何もない。
ホテルの入り口のパスコードは結局わからないままだったので、「ハロー!エクスキューズミー!!!!」の物理攻撃開始です。
今度は割とすぐにスタッフのおばあちゃん(メッセージの相手とは違う人)が開けてくれました。
そのおばあちゃんは英語がわからないそうですが、私も挨拶以上の中国語はろくに話せません。身振り手振り翻訳アプリで予約の確認をして、ようやく部屋に入ることができました。
この時おばあちゃんから「あなた中国語上手ね」という外国語が下手な外国人に贈られる褒め言葉を頂戴しました。

アップグレードしてもらったこともあって、部屋は思ったより広く、ベッドもシャワーもトイレも清潔でした。ただ、エアコンが付いていませんでした。まあ1月だし夜はそんな暑くないからまあいいやと思っていました。

セブンイレブンに飲み物とかお菓子を買いに行きました。昔買ったミルクティーが美味しかったんよな〜と思って探しましたが見つかりませんでした。日本のセブンで売ってるコンビニスイーツがありましたが高すぎます。20時間後には日本にいるので大丈夫です。ハーゲンダッツに800円も出して食べんでよか。

ホテルに戻ってさてシャワーしてプリン食って寝よ!!と思って電気をつけようと思いました。これがこの後のカオスな出来事の序章です。
電気をつけるときに何を間違って押したのか知りませんが、部屋が停電しました。
寝るだけだしまあいっかと思ったけど、普通に考えて暗闇の中でシャワーするの嫌すぎる…というかちゃんとお金払って泊まってるのに停電で一晩過ごすのは無理やろ……と思って、スタッフを探しに行きました。

「ニーハオ!エクスキューズミー!!!!ふーうーゆぇん!!!めいようれんま???!!!(訳スタッフさん!!いませんか??)」とでかい声を出しましたが、誰も居ません。
他の宿泊客のみなさん、お騒がせしてすみませんでした。

どうしようもないので、ホテルのおばちゃんにメッセージを送りました。今度は中国語で送りました。
「すみません、部屋が停電しました。ちょっと来て見てもらえませんか?スタッフは誰も居ません」

夜だから暇だったのか、中国語だからなのか、内容的に緊急を要すると思ったからかはわかりませんが、比較的すぐに返事がありました。

「今日は満室で移動できる部屋がない。修理のおじさんも来ない。代わりにモンコックのホテルの部屋を用意できます。」
と言われました。

「モンコック(地下鉄4駅分離れてる)まで行くのだるすぎる…」という気持ちと「いや、停電してる部屋で一晩過ごすの無理やん」という気持ちがせめぎ合いましたが、結局オファーを受け入れてホテル移動することにしました。

指令書みたいなメッセージが届きました。

この時点で午後9時半。歩いて30分ほどの距離とはいえ、クソデカスーツケースをこれ以上転がすのはもう嫌。あと、夜遅いので防犯的な意味でも歩きたくない。
なので、地下鉄に乗りました。なんか損した気分。

地下鉄駅から徒歩約5分。
怪しすぎる汚ねえ高層ビルのタイル張りの無機質なエントランスからエレベーターに乗ります。
シリキウトゥンドゥもドン引きしそうなオンボロで煤けたエレベーターです。
本当に20キロのスーツケースと成人女性が乗って大丈夫なんだろうな?駆動中に床が抜けたら綺麗な体で棺に入れないよ、たぶんミンチになる…。
思わず般若心経唱えながらエレベーターに乗りましたが、無事にホテルのある階に到着。
タイル張りの無機質な空間に鉄格子の扉が並ぶ、「来ては行けないところに来てしまった…」と心の底から思ってしまうような恐ろしい雰囲気でした。

「あつまれどうぶつの森」で再現した。こんな感じ。

ホテルのおばちゃんからメッセージで指示された通りに、鉄格子の扉の鍵を開けました。
扉の奥は、ごく普通の温かみのあるいかにもゲストハウスの空間が広がっていました。
ただしそこには誰も居ません。
異世界に通じる扉を開けたんかと思った。

午後10時。ようやく自分の個室に辿り着きました。
シャワーもトイレもベッドも清潔で、広さも充分です。
すっかりぬるくなってしまったセブンで買った冬瓜茶ゼリーを食べました。あっさりして甘くて疲労した体に染み渡る。最高。

床がなんか砂っぽい以外はベッドもシャワーも文句なしに清潔。ドライヤーもある。

その後のことはあんまり記憶に無いのでたぶんシャワーした後即寝落ちしたんでしょう。

朝起きてホテルから出るまで一度も人間に会いませんでした。もちろんチェックアウトも無人チェックアウトです。

怪しげなキーボックスに部屋の鍵を入れて、オンボロエレベーターで降りて、ビルの外に出ました。
ビルの外に出ると人間の世界に戻ってきたと思いました。
微妙に時間があったので、またスーツケースを転がしてGoogleマップでいい感じの冰室に向かいました。朝早くからやってるから助かる。
辿り着いた店はオンボロビルの谷間にあるドローカルな店で、そこら辺のおっちゃんたちが雑談し、出勤前の佇まいのおっちゃんがタバコ片手に新聞を読み、老夫婦が静かに朝食を召し上がってる、そんな店でした。
案の定ビビり散らかして店の前で立ちすくんでいたら、タバコを吸いに出てきたキッチンのおっちゃんから何やら声をかけられ、無事入店しました。
大丈夫、昨日お金おろしたから現金は持ってる。よし。
僕は漢字が読めるので、メニューが香港語オンリー・写真無しでも問題ないです。よし。
とりあえず朝食Aセットを頼みました。

茹でたマカロニの上に申し訳程度にハムが乗ってるやつ、目玉焼き、香港名物パイナップルパン、香港式ミルクティー

香港って!!!!!そう!!!!!
イギリス文化〜〜!!!!ドコドコドン!!

この味のしないぬるぬるのマカロニは「自分!!イギリス育ちなんで!!!!」という自己主張の激しいイギリスの味がします。(イギリス行った事ない)
食にうるさい中華文化が作り出した食べ物じゃないだろお前!!!!このブリテン野郎め!!!!!!!!

ミルクティーは「ザ・カフェインの暴力」。大量の茶葉を惜しげもなく使える贅沢感の表出なのでしょうか。わからん。基本的に香港式のお茶はすっごい濃いの。牛乳でも砂糖でも誤魔化しきれない苦味とえぐみ。朝早くてぽやぽやしてる頭をカフェインが容赦なくぶん殴ってきます。目からビームくらいなら出せるよ、こりゃ。
カップとソーサーかわいいね!!!

たまごとパイナップルパンはどこか懐かしい「こういうのでいいんだよ、こういうので…」としみいる美味さ。パイナップルパンもう一個食べたい。
パイナップルパンってパイナップルの味がするからパイナップルじゃなくて見た目がパイナップルっぽいってだけなんやね。
日本人のいうメロンパンみたいなものなんやね。

目からバチバチに星を散らしながら、ミルクティーを飲み切って退店。ごちそうさまでした。

香港空港でお見送りしてくれるクッキー・アンちゃんとリーナ・ベルちゃん

あとは滞りなく空港に到着し、無事に日本に帰りました。
速攻で牧のうどん食べに行きました。鰹出汁最高!!!!

めっちゃ歩いてる

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