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2020年を振り返って

今年初めてにして最後の文章での記事になります。

みなさま2020年はいかがでしたでしょうか。
コロナの影響もあり劇的に生活環境が変わった方もいらっしゃるかもしれませんが、私に関しては生活環境はそれほど変わることはありませんでした。ただし就職難や創作活動に起因する精神的な苦しみに苛まれる年になりました。

まず今年の元旦は派遣先の社員とともにフルーツジュースの仕込みをするところから始まりました。誰もいないデパ地下(開店が翌日からだったので)でひたすら黙々とザクロの実を取っていたら、その空気に耐えられなくなった社員さんが「音楽かけてもいいですか?」とおもむろにジブリのオルゴールアレンジか何かを流し始めて、それでも会話が弾むことなく黙々とデパ地下にジブリが流れていたあの時の記憶が今でも思い出されます。

去年の秋から派遣で入っていたフルーツジュースのお店の接客業を通して、自分はいかに接客業には向いていないかをひしひしと実感することになり、5歳以上年下の社員や先輩のバイトの女の子に叱咤されるのにも苦しくなり、3月末に退職しました。

そのあとは就職活動をしながら絵を描いていましたが、いつまで経っても上手くならない絵や漫画にほとほと嫌気がさし、Twitterのアカウントを閉鎖し、1ヶ月以上知り合いのDiscordサーバーにこもり、SNSから距離をとることにしました。


上記のことで身に染みたのは、
不慣れなこと、自分には出来ないことをやっても傷つくだけだということです。

本来フルーツジュースの接客をやりたいと思ったのは、ビジネススキルの向上のため接客経験を積みたいというものでした。しかし元々接客が好きではない自分がいくら頑張ったとしても、根っから接客が好きな人には決して追いつくことができない。また、コミュニケーション不足や融通の利かなさは、その場の一瞬の判断が要求される接客業では致命的な弱点であり、それによって失敗もたくさんしました。

働いている当初は何歳も年下の女の子たちがこんなに自立して動けているのに、なんで自分はこんなにダメなんだろうと自分を責め続けていました。

今は「接客をやっても迷惑がかかるだけだ」と思い、ハナっからそういう仕事は選ばないようになりました。いずれコンビニのバイトなどになるのかもしれないですが、その時はまた苦しむのかなと思います。

未来に関して展望が開けることはありませんでした。


絵や創作に関しては、いくつかお仕事をいただけた年でもありました。

まず2月にKADOKAWA様からご依頼頂き、「少女終末旅行」のアンソロジーコミック8pを執筆しました。錚々たるメンバーの中でどこか後ろめたさを感じながら作品を制作しましたが、ちらほら「なんか好きだ」って言ってくれたレビューもあったので、よかったなと思いました。


そしてもう一つは門脇綱生さんが主体となって進められた、「ニューエイジ・ミュージック・ディスクガイド」へのレビューでの参加と、扉絵、またディスクユニオンで配布された特典CD「中空構造」のジャケットです。

これは当初門脇さんにレビューのお誘いを受けたのですが、そのごジャケットや扉絵を描いてほしいと依頼をいただき制作しました。

ここから繋がったご縁がたくさんありました。特にOMOIDE LABELというネットレーベルの主催者YZOXさんと繋がったことで、自身のEP「Parnara Guttata」をOMOIDEでリリースする機会を得ました。また、桁違いの音楽経験をされてきた方々、eminemsaikoさんやDJ Pigeonさん、Bashさん、Toriyamaさん、架空のユーザーさんなど、稀有な存在の方々と交流する機会をいただきました。

門脇さんにはここでお礼を言いたいと思います。ありがとうございました。

次に、VtuberのSALLA.R様の動画漫画の制作です。プロデューサーの方がすごくエネルギッシュな方で、すごく挑戦的なこともOKしてくれたので、すごく心強かったなと思いました。貢献できたかは正直微妙なところではあるのですが、他の動画への引き立て役にはなってくれたのかなと思っています。

湖池さん、本当にありがとうございました。

こうしてざっと振り返ってみると、つくづく自分1人でできる仕事なんてないんだなあと感じます。当たり前です。仕事とは人と人とが交流したところに生まれるものだから。


漫画の方に話を移しましょう。

まずは自分の漫画。
noteに一通り漫画はアップしているので、今年投稿した漫画を振り返ってみると、こんな感じ。

1月
・あたまのなか
・うさぎまんが

2月
・彼女は弟を愛したい
・クワズイモ観音

3月
・ねこくさ

4月
・黒い気持ちの中には小さな幸せがある

5月
・嵐の夜のお仕事

6月
・夜更かしした朝

9月
・おやすみひつじたち
・ほんとひと

11月
・「普通」で世界が滅んだ漫画
(「ギャランホルンは普通」に改題)


個人的に転換期となったのは9月の「おやすみひつじたち」という漫画を描いた辺りです。この漫画は今まで短いページ数の漫画しか描いてこなかったから長尺の漫画を描こうと思い、3ヶ月くらいヒーヒー言いながら描いた記憶があります。正直20pの漫画で3か月かけるのはすごく筆が遅い部類ですが、今まで自信の持てなかった漫画で長尺の作品を、当時の自分が納得いくまでの作品を捻り出したことで、少し嬉しい気持ちになりました。

そしてその後、「ほんとひと」という作品を描いた際にSALLA.R様のお仕事の関係で今まで使用していたソフトをメディバンからクリスタに変更しました。ここ数年全てメディバンで描いていた自分にとってクリスタの線がすごくきめ細やかに感じ、すごく興奮したのを覚えています。

そして最終的に「ギャランホルンは普通」を描く際には、キーワードを設けて制作することにしました。今までは避けてきた、キャラクターを通して世界を表現するということにチャレンジしてみた結果、まだまだ至らないところもあれど自分がTwitterで公開した漫画の中では一番反響のある作品になりました。

まとめると、創作に関しては徐々にその時々の自分が納得できるものをリリースできたかな、と感じています。

来年も精進したいです。

今は2月ティアに向けて36pくらいの漫画を描いているので、ギャランホルンの時と同様、エディットしたものをTwitterで公開できたらしようかなと思っています。ただ、ギャランホルンのように明確なキーワードを打ち出してはいないので、雰囲気だけふんわり伝えられればいいかなと思います。

あ、ここで今年読んだ漫画でよかったものを備忘録も兼ねてアップしておきましょう。

下記の8作品です。敬称略です。

阿部洋一「羊角のマジョロミ」
田島列島「水は海に向かって流れる」
伊図透「犬釘を撃て!」
オノナツメ「BADON」
松本直也「怪獣8号」
つくみず「シメジシミュレーション」
奥田亜紀子「心臓」
竹本泉「屋根裏のバイテン」


読んだ小説、評論でよかったものも下記に挙げておきます。以下になります。

マーク・フィッシャー
「資本主義リアリズム」
ロベルト・ボラーニョ
「アメリカ大陸のナチ文学」
荒川徹
「ドナルド・ジャッドー風景とミニマリズム」
大澤真幸「自由という牢獄」
クリストファー・ヤング
「デイヴィッド・シルヴィアン」

デイヴィッド・シルヴィアンの本は去年からずっと読んでいて、なんか創作意欲をくすぐられたい時に読んだりしています。マーク・フィッシャーの本も同様に。




音楽は特に・・・。
強いていうならBill Callahanの「Gold Record」、最近でたFour Tetの「Parallel」とか、Floating Point「Crush」とか・・・。あとは吉村弘の作品や、Steve Jansen、David Sylviaの作品とか。


そろそろ書くのに飽きてきたので最後にします。来年の目標は明日また立てることにして、さっさと風呂に入り、漫画の制作を進めたいなと思っているので・・・。


今年も一年ありがとうございました。

来年は、「誰かのために効率的に制作する」をテーマに掲げ、効率的に非効率な矛盾した漫画や創作を描くことを目標に精進したいと思います。よろしくお願いいたします。


ののもと








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