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禁酒-なりたい自分になる手段として③

 ある日、本当の原因は分からないものの、自分の中では飲酒が関係していると思われる体調不良があった。目の奥が痛み、視界がかすみ、「これはいよいよ、お酒を止めるしかない」と思った。
 そこで、次の日から禁酒することにした。禁酒開始日は、5月1日で、ちょうど牡牛座新月の日でもあり、何かを始める日、区切りの日として良いのではないかと思った。

 禁酒開始から3日位までは、まだ体調不良の時の状態を体も心も覚えていたので、「また苦しみたくはないから」と、自然と飲まずにいられた。
 体調不良にまつわる感覚や記憶が薄れてきた、開始から5日〜2週間辺りまでが、最も精神的に辛かった。「もう体も良くなったし、休肝日も作れたわけだし、この辺でちょっと飲んでも良いのでは」という甘えが出てきてしまった。
 また、家族は禁酒していないのと、禁酒する前に飲んでいたお酒の残りがあったので、家の中にお酒がある状態だった。何なら、昨夏に自分が仕込んだ梅酒まである。
 更に、お酒が好きで毎日飲んでいる生活スタイルの人達と話をして、案の定「1合位までなら、却って飲んでいる方が調子が良い」という例の話題を聞いてしまい、自分の中の甘えと気の緩みに拍車がかかった。

 開始後2週間までは、このように、誘惑にさらされながら(とは言っても、別に誰かから「飲みなよ」とか言われた訳でもなく、あくまでも自分の内側にある弱い心からの誘惑だった訳だが)、どうにかこうにか禁酒していた。

 ちょうどその頃、図書館の書棚で偶然、今の自分が読んだ方が良い本を、タイムリーに見つけた。その本は、東京アルコール医療総合センター・センター長 垣渕洋一著『そろそろ、お酒やめようかなと思ったときに読む本』(2020)。
 試しに、「はじめに」に目を通したところ、「お酒は薬物です」とはっきり書いてあり、まずは衝撃を受けたが、やっぱりそうかと納得するところがあった。そして、少し読み進めて、自分は初期の薬物依存なのだなと思い至った。本によると、イベントがなくても定期的に飲酒する状態は、専門用語では「常用量依存」というそうだ。また、飲まないとなんとなくさびしい、つまらない、物足りないと感じるのは、「依存性」という慢性的な副作用が進行している状態だという。これまでに書いたように、私の中には正にこの依存的思考があった。

 はっきりと認めるのは辛いが、自分の今の状態は、初期のアルコール依存なのだと。ここをしっかり認識することから始まるのだと、この本をぱらぱらめくって拾い読みした時点で思った。
 幸い、その状態からどのようにして断酒の方向へ持っていくのかという方法も、この本には書いてあった。

               -続く-

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