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バンギャル今昔物語


「まみこさんはこれからもどこかでバンギャルやるだろうから」
「またどこかで会いましょうね」

と、推しの脱退の日少なくとも4人に言われた。
自分でもそうじゃないかなと思っていた。今までもそうだったように。

なのに今回に限ってだけは、どうしてもその想像ができないでいる。
 



少しだけ私自身のお話。


別に隠してもないのであれだけど、今年32歳になった。
ライブハウスという大きさの会場に出入りするようになってからで数えると20年近くバンギャルしてる。化石やん。
はじめて行ったライブはエルドラードだったんだけど(そこは隠さないのかと)
キャリーをゴロゴロひいて全国ツアーを上から下までまわっているあのお姉さんたちを、若干13歳だった私は完全に羨望の眼差しで見ていた。
いつか私もああなりたいと強く強く思った。
あの時のことは今もくっきりと鮮やかに覚えていて。会場の入り口で漂っていた香水まで覚えている。ブドワールとロリータレンピカだった。
 
そこからは色々と早かった。
思えば私の行動力はもうあの頃からだったんだな。
地元のEバンド(一応こっちは隠す)にせっせと通う。そこの常連と呼ばれる人たちに私はバンギャルの全てを教えてもらった。本当にありとあらゆることを!
幼心にも抱いた「なりたい」を「なる」に変えるための努力は怠らなかったと思う。熱心なおっかけになるための努力って何やねんって感じかもしれないけど。色々あんねん。
そんな私の努力(?)の甲斐もあり、中学を卒業するころには一丁前にも最前でしかライブを観なくなっていた。
都内のライブハウスには月に1回行ければいいペースだったものも、高校に入ると同時にメーターが振り切れるくらい加速した。自由とお金を手に入れた若者って感じ。

そこからはもう怒涛だった。
詳しく書きたいことも書きたくないこともたくさんあった。

そんな紆余曲折なバンギャル人生を経て、私は今のex.推しのいたバンドに出会ったわけで。
 

バンギャルにはかなり独特の文化がある。それは良くも悪くも。
気付けば私はこれらのほとんどを経験してしまった。
もうこれ以上アップデートすることなんてできないってくらいには全てやりきった。そんな気がしている。
 
好きなバンドはたくさんあるし、ライブも好きだし、やっぱりこのビジュアル系という文化が私は好きだから、そこからは生涯離れることはないと思うけど。

ただ、必死にチケットを買って、最前に入って手足をばたつかせて、頭を振って、ツアーのたびに全国を巡り、両手を広げてニヤニヤして、ということをしている自分が想像できない。
13歳の時にあんなに強くなりたいと願った姿のはずなのに。
 

でも、これで良いのかなとも思っている。
最後の最後に好きになれたのがあの人で良かったし、あのバンドで良かったのだと。
だとしたらこんなきれいな終わり方はない。見事だ。あっぱれ!
 
 
 





とかいって、ものの数か月後には違うバンドの違う誰かを好きになってあーじゃーこじゃしてたらその時は誰か私のことをぶん殴りにきてほしい。ボコボコにしてくれ。

でもひとまず、今はまだもう少しだけおめおめと綴らせてほしい。

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