進化する「負けないエース」和田毅、日米通算150勝


福岡ソフトバンクホークスの和田毅(41歳)が、新たなマイルストーンに到達した。

和田は6月19日、PayPayドームで行われた対楽天イーグルス戦で、今季8度目の先発登板。
楽天先発は早稲田大学野球部で和田の後輩にあたる早川隆久で、早稲田出身の左腕エースの投げ合いとなった。

和田は1回に2番・小深田大翔、3番・浅村栄斗を連続三振に仕留めると、現役投手最多を更新するNPB通算1756個目の奪三振となり、ホークスの先輩投手である杉浦忠と並び、歴代35位タイとなった。
さらに2回も先頭の4番・島内を見逃し三振に斬って取り、ホークスの投手として史上最多となる1757奪三振をマークした。
3回までに6奪三振と最高の投球を披露し、5回に毎回奪三振は途切れたが、楽天打線をパーフェクトに抑えた。
6回、昨季まで同僚だった川島慶三からこの日、8個目の三振を奪った後、1死から、早稲田大学野球部の後輩、茂木栄五郎と対戦、ライトスタンドに2号ソロホームランを叩き込まれて、パーフェクトは途切れた。
それでも和田は6回を投げ、被安打1、8奪三振、1失点という好投で、3点リードで勝利投手の権利を持ったまま71球でマウンドを降りた。

その後、ソフトバンクは救援陣の甲斐野央、嘉弥真新也、藤井皓哉、リバン・モイネロと繋ぐ盤石の投手リレーで無失点で逃げ切り、楽天に4-1で勝利。
和田はNPB通算145勝目(歴代53位)、日米通算150勝目(56人目)の節目に到達した。

和田毅は21世紀を代表する「負けないエース」

和田毅はNPB通算勝利数トップ100の投手の中で、通算勝率が.650と歴代7位にランクインする。

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和田よりも上位の投手はすべて20世紀に活躍した投手であり、通算勝率トップ20を見ても、21世紀に入ってから活躍した投手はかつての同僚だった杉内俊哉(ダイエー・ソフトバンク→巨人)しかいない。

投手個人の勝率が高いのは、所属したチームが強かったこともある。
それでも、和田毅は文字通り、21世紀を代表する「負けないエース」と言えるだろう。

NPB史上4人目の「NPB通算2000イニング以上で奪三振率8.00以上」も目前

和田が今季中に手にする可能性がある「勲章」は「NPB通算150勝」だけではない。

NPBの投手で通算2000イニング以上を投げて、奪三振率が8.00を超えたままキャリアを終えたのはこれまで、江夏豊、石井一久、杉内俊哉の3人しかない。いずれも左腕である。

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和田はあと66イニングを投げると、NPB史上93人目となる通算2000投球回に達する。

今季、和田は41回2/3を投げ、奪三振は39個あり、奪三振率は8.42。
昨季まで通算奪三振率が8.19であり、なんと、これまでのキャリアを上回るペースで三振を奪っている。
このままのペースで行けば、通算2000イニング到達時点で奪三振率8.00を超えているのはほぼ確実である。

「最後の松坂世代」、まだまだ驚異的な進化を遂げる左腕

和田毅は昨季オフ、同級生の松坂大輔が引退したことで、「松坂世代」(1980年4月-1981年3月生まれ)で在籍したプロ野球選手94人のうち、最後の一人となった。

和田は2011年オフ、MLBのボルティモア・オリオールズにFA移籍したが、その直後、2012年にトミー・ジョン手術を受け、2014年、渡米3年目にしてシカゴ・カブスでメジャー初登板を果たし、2シーズン通算25試合で5勝を挙げた。
2016年に古巣・ソフトバンクに復帰すると、いきなり15勝を挙げて自身2度目の最多勝を獲得。
2018年開幕前に再び左肩を痛めたが1年半にわたる治療・リハビリを経て、2019年に復活した。

さらにいまだに若手選手にも負けないトレーニング量と、練習方法や栄養に関する知識を誇る。

和田は早稲田大学野球部入部時には直球の速度が130キロ前後しかなかったが、ここに来て球速もキャリアハイとなる149キロを記録するなど、まだまだ驚異的な「進化」を続けている。

何度もキャリアの危機を乗り越えてきた和田が、さらにどんな「進化形」を見せてくれるのだろうか。

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