WBC2023ベスト4 メキシコ代表選手名鑑

 第5回WBCも、いよいよ準決勝2試合と決勝を残すのみとなりました。
MLBのマイアミ・マーリンズの本拠地である、ローンデポ・パークで開催されます。

まず準決勝の対戦カードですが、

・キューバ対アメリカ 3月20日(月) 8:00(日本時間)
・日本対メキシコ 3月21日(火) 8:00(日本時間)

とりわけ、日本代表と対戦する、メキシコ代表がどういうチームなのか、気になるところでしょう。

メキシコ代表の特徴ですが、

<全体>
・メキシコ代表を構成するのは、メキシコ出身と米国出身の選手の混成チーム。
すなわち、母国語がスペイン語と英語に分かれるため、直接、意思疎通ができないチームメートが混在する。

<野手>
・野手のスタメン候補は全員、現役メジャーリーガー。
・野手陣はロウディ・テレス(ミルウォーキー・ブルワーズ)の35本塁打を筆頭に、2022年シーズンで二桁本塁打を記録した選手が6人。
・今大会、5試合で打率.281、5本塁打、32得点を挙げている。

<投手>
・投手陣は16人のうち、9人が現役メジャーリーガー。
・先発投手陣は、フリオ・ウリアス(ドジャース)の17勝を筆頭に、2022年にシーズン二桁勝利を挙げている投手が3人。
・今大会、チーム防御率は3.52、そのうち先発の防御率が4.50に対し、救援の防御率が2.77と安定している。


過去、日本とメキシコ代表は5度対戦して、いずれも日本代表が勝利しています。
だが、今回のWBCメキシコ代表チームは、ほとんど現役メジャーリーガーで構成されており、まったく別のチームだと考えたほうがよいでしょう。

では、予想される先発メンバーを見てみましょう。

1番 レフト ランディ・アロサレーナ タンパベイ・レイズ


右投右打 1995年2月28日

キューバ出身、家計を支えるために20歳にカリブ海をカヤックで渡り、メキシコに亡命。メキシカンリーグを経て、2016年、セントルイス・カージナルスとマイナー契約を結んだ。
2019年、タンパベイ・レイズでメジャーデビューすると、2020年のポストシーズンでは3試合連続ホームラン、ワールドシリーズでの3本塁打を含む、20試合で10本塁打を放って大ブレイクを果たした。
2021年には、打率.274、20本塁打・20盗塁・69打点を記録して、アメリカン・リーグ新人王を受賞した。これはキューバ出身の選手としては史上6人目の快挙だった。
翌2022年には打率.263、20本塁打・32盗塁・89打点をマーク、2年連続で「20本塁打-20盗塁」をクリアした。
2022年にメキシコの市民権を得て、今回、WBCメキシコ代表入りを果たしている。

今大会1次ラウンドでもチーム初本塁打を記録、チームトップとなる8安打・9打点を挙げ、短期決戦に強いことを再び証明している。

2番 ライト アレックス・ベルドゥーゴ ボストン・レッドソックス


左投左打 1996年5月15日

米国アリゾナ出身。高校時代は投手として活躍、2014年のMLBドラフト2巡目でロサンゼルス・ドジャースから指名され入団、外野手に転向すると2017年にサンディエゴ・パドレスでメジャーデビュー。
2020年にボストン・レッドソックスに移籍、2021年は146試合に出場し、打率.289、13本塁打、63打点を記録して、外野のレギュラーを掴んだ。
2023年シーズンに、野手とリリーバーとの「二刀流」に挑戦することを表明している。

3番 ファースト/指名打者 ジョーイ・メネセス ワシントン・ナショナルズ


右投右打 1992年5月6日


メキシコ出身。2018年、フィラデルフィア・フィリーズ傘下のマイナーでプレーすると本塁打王・打点王の二冠を獲得、オフにオリックス・バファローズと契約。
開幕前、メキシコ代表の4番打者として、日本代表との強化試合で鮮烈なデビューを果たしたが、開幕直後に右手首の負傷に加え、ドーピング検査で陽性反応を受け、シーズン途中で退団。
2020年にボストン・レッドソックスとマイナー契約を結び、2021年には東京五輪2020のメキシコ代表に選出され、横浜スタジアムでの日本戦でホームランを放っている。
2022年は8月にワシントン・ナショナルズで30歳にしてメジャーデビューし、初出場でホームランを放つなど、56試合で13本塁打、打率.324、34打点をマークした。

今大会の1次ラウンド・アメリカ戦で、2本のホームランを放ち、5打点を挙げ、1次ラウンド1位通過の立役者の一人となった。

4番 指名打者/ファースト ロウディ・テレス ミルウォーキー・ブルワーズ


左投左打 1995年3月16日

米国カリフォルニア出身、2013年ドラフト30巡目でトロント・ブルージェイズからの指名を受け入団。
2018年にメジャーデビューし、MLB史上初となる「初打席から3打席連続長打」を放つと、アメリカン・リーグでは1936年のジョー・ディマジオ(ヤンキース)以来となる、「デビュー3試合で二塁打6本」を放つ離れ業を演じた。
2019年には111試合で、21本塁打を放ったが、その後、出場機会が激減。
2021年シーズン途中でミルウォーキー・ブルワーズに移籍、2022年シーズンは5月4日のシンシナティ・レッズ戦では1試合で満塁本塁打と2ラン本塁打を放ち、チーム新記録となる1試合8打点を挙げるなど、35本塁打、89打点をマークした。

今大会は1次ラウンドのカナダ戦で待望の一発を放っている。

5番 サード イサーク・パレデス タンパベイ・レイズ


右投右打 1999年2月18日

メキシコ出身、2015年にシカゴ・カブスとマイナー契約を結び、2019年にオールスターフューチャーズゲームに出場するなど頭角を現し、2020年にデトロイト・タイガースでメジャーデビュー。
デビューから4試合目、逆転となるグランドスラムでメジャー初本塁打を記録した。
2022年にタンパベイ・レイズに移籍、111試合で20本塁打を放った。

今大会、準々決勝のプエルトリコ戦では、先発のマーカス・ストローマンからホームランを放ち、7回には二死満塁から起死回生となる同点タイムリー安打を放った。

6番 セカンド ルイス・ウリアス ミルウォーキー・ブルワーズ


右投右打 1997年6月3日

メキシコ出身、2013年、サンディエゴ・パドレスとマイナー契約。
プロスペクトとして期待を受け、2017年にはWBCメキシコ代表に選出された。
2018年にオールスターフューチャーゲームに出場、直後にメジャーデビューを果たした。
2019年オフにミルウォーキー・ブルワーズに移籍、2020年にレギュラーを掴むと、2021年、150試合で23本塁打、75打点をマークした。
二塁、三塁、ショートと内野はどこでも守れる。

今大会、準々決勝のプエルトリコ戦では同点で迎えた打席で、しぶとくライト前にタイムリーをはじき返し、殊勲打を放った。

7番 ショート アラン・トレホ コロラド・ロッキーズ


右投右打 1996年5月30日

米国ロサンゼルス出身、2017年ドラフト16巡目でコロラド・ロッキーズから指名を受けで入団。
マイナーリーグで通算77本塁打を放ち、2021年にメジャーデビュー。
2022年は試合中に、ショートを守っていた際、ダブルプレーを狙った一塁への速い送球で、味方の一塁手・C. J. クロン(元広島カープ/ケヴィン・クロンの兄)のファーストミットを「破壊」したことでも話題になった。

8番 センター アレク・トーマス アリゾナ・ダイヤモンドバックス


左投左打 2000年4月28日

米国シカゴ出身。高校卒業後、2018年のMLBドラフト2巡目でアリゾナ・ダイヤモンドバックスから指名され入団すると、アベレージヒッターとして確実な打撃を見せ、2019年にはオールスターフューチャーズゲームに選出された。
2022年にはプロスペクトランキングでチーム1位かつ全体18位というトッププロスペクトとしての評価を受け、5月にメジャーデビュー。
主にセンターとしてレギュラーを掴み、113試合で8本塁打、39打点、打率.231を記録した。
今回、メキシコ代表の野手では最年少となる。
父のアレンもマイナーリーガーとしてシカゴ・カブス傘下でプレーした経験がある。

9番 キャッチャー オースティン・バーンズ ロサンゼルス・ドジャース


右投右打 1989年12月28日


米国カリフォルニア出身で、2011年のMLBドラフトでフロリダ(現マイアミ)・マーリンズから9巡目指名され、2014年オフにロサンゼルス・ドジャースに移籍。

打力に課題があり、出場機会が限定されていたが、2017年に、キャッチャーとセカンドの兼任で102試合に出場、打率.289、8本塁打を記録した。
2020年はレギュラーシーズンでは29試合の出場に留まったが、ワールドシリーズでは5試合で先発マスクをかぶり、第3戦ではスクイズを決めた後に、ダメ押しの本塁打を放った。
2022年まで6シーズン連続でポストシーズン出場を果たしており、大舞台には慣れている。
日本人投手とは黒田博樹、前田健太、ダルビッシュ有とバッテリーを組んだことがある。
今回、メキシコ代表では野手最年長(33歳)。

先発投手 パトリック・サンドバル ロサンゼルス・エンゼルス


左投左打 1996年10月18日

2015年のMLBドラフト11巡目でヒューストン・アストロズから指名され、入団。
2018年、ロサンゼルス・エンゼルスに移籍、翌2019年8月にメジャーデビュー。
デビューから先発登板した試合で8連敗となかなか勝ち星に恵まれなかったが、2020年9月23日、対サンディエゴ・パドレス戦では大谷翔平のホームランなどの援護を受けてメジャー初勝利を挙げた。
2021年7月24日の対ミネソタ・ツインズ戦では9回一死までノーヒットノーランを継続したが、あと二人というところで快挙を逃した。
2022年は27試合に先発、防御率2.91とキャリアハイを記録、チームでは大谷翔平に次ぐ、6勝を挙げている。

今回、メキシコ代表では先発2番手として、1次ラウンドではアメリカ戦に先発、3回を投げて、被安打2、2番のマイク・トラウトと3番のポール・ゴールドシュミットから2三振を奪い、1失点に抑えて勝ち投手となっている。

球種は2022年シーズンで見ると、フォーシームが23%、ツーシームが14%、スライダーが29%、チェンジアップが25%、カーブが10%となっている。
フォーシームの平均球速は93マイル(150キロ)程度で、最大の武器はスライダーとチェンジアップである。

第二先発(予想) タイフアン・ウォーカー フィラデルフィア・フィリーズ


右投右打 1992年8月13日


米国ルイジアナ州出身、高校時代はバスケットボールと野球の二刀流で、しかも野球ではショートを守っていたが、投手に転向、2010年のMLBドラフト1巡目追補でシアトル・マリナーズから指名された。
2012年にはオールスター・フューチャーズゲームに出場すると、2013年8月、ヒューストン・アストロズ戦で先発登板でメジャーデビュー、5回無失点に抑え、メジャー初登板・初先発・初勝利を挙げた。
2015年は先発ローテーションに入り、規定投球回に到達、11勝8敗と自身初の二桁勝利を挙げた。2017年にアリゾナ・ダイヤモンドバックスに移籍したが、2018年にトミージョン手術を受け、復活後も低迷した。
2021年にニューヨーク・メッツに移籍、4年ぶりに先発ローテーションを守り、7勝を挙げると、翌2022年には12勝5敗、防御率3.49と7年ぶりのシーズン二桁勝利をマークした。
今オフにフィラデルフィア・フィリーズと4年総額7200万ドルの大型契約を結んだ。

今大会では先発3番手としてイギリス戦に先発、4回を被安打1、8奪三振、無失点に抑えている。
球種は2022年シーズンで見ると、フォーシームが30%、スプリッターが28%、スライダーが18%、ツーシームが11%、カッターが5%となっている。
フォーシームの平均球速は94マイル(151キロ)程度だが、特にスプリッターの精度が高い。


いかがでしょうか?

メキシコ代表は現役メジャーリーガーといっても、多くはメジャー経験が3-4年ですが、26-27歳前後の非常に活きの良い選手が揃っています。
日本代表と似たような年齢構成といえるでしょう。

また、救援の防御率が安定してよいのも特徴です。
勿論、決勝まで進出してもあと2試合ですので、先発要員であるタイフアン・ウォーカー(ニューヨーク・メッツ)かホセ・ウルキーディ(ヒューストン・アストロズ)2人のどちらかを注ぎ込んでくる可能性も高いです。

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