NPB12球団最初と最後の通算100勝達成投手は誰か?


阪神タイガースの西勇輝投手が、NPB通算100勝達成を目の前に足踏みをしている。

西勇輝は6月18日に、今季4勝目を挙げ、自身通算99勝となり、NPB史上140人目となる通算100勝に王手を懸けた(日米通算での達成者を含まない)。
だが、その後、抑えた試合でも援護がなく、6戦6敗を喫している。
その6試合で援護点はわずか3点、援護点がゼロだった試合が4試合もある。

NPB100勝を目前にこんなに足踏みをしている投手は他に例がない。

NPB通算99勝目からの投手連敗記録は?

NPB通算100勝は、21世紀に入ってから(2001年以降)25人が達成しているが、その中で通算99勝目を挙げてからもっとも連敗したのは、巨人の内海哲也(現西武、通算135勝、9月2日現在)が2013年5月12日に、自身通算99勝を挙げてから3連敗したのがワーストである。
内海は6月16日、ソフトバンク戦で9回3失点の完投勝利を挙げ、ようやく100勝に到達した。

NPB通算99勝から100勝まで、もっとも時間を要したのは?

田中将大のように、NPB通算99勝を挙げて、MLBに移籍したようなケースを除けば、21世紀に入って、NPB通算99勝目から100勝を挙げるまでに、もっとも時間がかかったのは、2018年の中田賢一(現阪神)である。
ソフトバンクに在籍していた中田は2018年6月10日に古巣である中日戦に先発して99勝目を挙げた。だが、100勝目をかけた6月17日の広島戦で、6回途中、8失点と炎上した。
次の6月29日のロッテ戦でも4回途中4失点でKOされてから、1度、リリーフ登板すると、7月22日の日本ハム戦で「3度目の正直」で先発マウンドに上がったが、5回4失点で勝ち負けはつかなかった。その後、ウイルス性の胃腸炎にもかかり、登録を抹消された。
中田は8月中旬に一軍に復帰したが、役割は先発ではなく、リリーフに廻った。
リリーフ登板3試合を経て、8月26日の西武戦(ヤフオクドーム)、8対8の延長11回から中田は登板し、2回を無失点、5奪三振に抑えると、12回裏にジュリスベル・グラシアルが劇的なサヨナラ満塁本塁打を放った。
これで中田はようやく通算100勝に到達した(うち中日で61勝、ソフトバンクで39勝)。
中田はその後も登板はリリーフに限られ、勝利を挙げられず、翌2019年も一軍での登板はわずか1試合の先発に留まり、シーズン0勝に終わった。
そのオフ、中田は阪神タイガースに無償トレードされた。2020年のシーズン、3試合すべてに先発登板したが勝ち星はなく、2021年のシーズンも現在まで一軍での登板はまだない。
つまり、通算100勝のままである。
もしも、グラシアルのグランドスラムがなければ、中田にとって、その後、未勝利の3年間はさらに穏やかな日々ではなかったであろう。

では、NPB12球団でそれぞれ最初と最後に通算100勝に到達した投手は誰なのか。

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NPB通算100勝達成投手がもっとも多いチームは?

NPB通算100勝達成投手139人のうち、もっとも多く輩出しているのはやはり、読売ジャイアンツで、NPB史上初の100勝を達成したビクトル・スタルヒン(通算303勝)から、2020年に達成した菅野智之(通算104勝、9月2日現在)に至るまで19人いる。

NPB通算100勝達成投手を輩出してからもっとも遠ざかっているチ―ムは?

NPB通算100勝達成投手を輩出してもっとも時間が経っているのは、北海道日本ハムファイターズである。
1985年に西崎幸広(通算127勝)が到達して以来、36年間、ファイターズでNPB通算100勝目のマイルストーンを迎えた投手は一人もいない。
もっとも接近したのは、ダルビッシュ有(現サンディエゴ・パドレス)の93勝である。

NPB通算100勝達成投手が少ないチームは?

また、現存する12球団のうち、チームの歴史が比較的浅い、東北楽天イーグルスを除き、チームの歴史の割に、NPB通算100勝達成投手が少ないのは、東京ヤクルトスワローズである。
国鉄スワローズ時代、金田正一(通算400勝)が21歳2か月という最年少で通算100勝に到達してから、サンケイ・アトムズ時代に村田元一(118勝)、ヤクルトになってから松岡弘(191勝)、尾花高夫(112勝)、石川雅規(174勝)と、71年の歴史で、わずか5人しかいない。

阪神タイガース生え抜きで通算100勝を達成した投手は?

西勇輝がNPB通算100勝に到達した瞬間、阪神タイガースの投手としては18人目の達成となる。
だが、西勇輝がこれまで挙げた99勝のうち、そのほとんど、84勝はオリックスで挙げたものである。
阪神タイガース生え抜きで達成した投手は、2018年の能見篤史(現オリックス、通算104勝、9月2日現在)より前となると、1985年の山本和行(通算116勝)までさかのぼる。

NPB通算100勝を達成した投手のチーム別の数や顔ぶれを見ていると、そのチームの歴史的変遷や編成の方針が透けてみえて面白い。

西勇輝は今日9月3日、首位攻防戦となる甲子園での巨人戦に先発予定である。
西にとっては、個人の成績よりも、チーム浮上のために負けられない一戦となりそうだ。

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