ヤクルト・石川雅規、9年ぶり完封勝利

東京ヤクルトスワローズの44歳ベテラン左腕、石川雅規に「恵みの雨」で、もう一つの「記録」が生まれた。

6月2日、ヤクルト対楽天イーグルス戦で、ヤクルト先発の石川雅規は5回を投げ、被安打4、1奪三振、無四球という内容で無失点に抑えた。
これで石川は今季初勝利となり、「新人から23年連続となる勝利」でNPB新記録を樹立し、さらに現役最多を更新するNPB通算186勝目(186敗)、交流戦歴代トップの29勝目、と嬉しい1勝となったが、さらに5回を投げ切ったところで、試合が雨天コールドゲームとなったため、「無四球試合」と「完封勝利」が記録された。

そして、石川雅規にとって、2015年4月25日、対巨人戦以来となる、9年ぶり、3326日ぶりの完封勝利となった。


NPBの投手で「最長ブランクの完封勝利」は藤井秀悟

NPBの投手で、完封勝利の間隔がもっとも長かったのは藤井秀悟である。

藤井はヤクルトスワローズに在籍していた2002年4月18日、横浜ベイスターズ戦で完封勝利を挙げて以来、長らく完封勝利から遠ざかっていたが、2011年オフに横浜DeNAベイスターズに移籍、移籍2年目となった2013年7月13日、甲子園球場での対阪神タイガース戦で実に11年ぶり、4104日ぶりとなる完封勝利を挙げた。

それまでの「最長ブランクの完封勝利」は「三刀流・藤村富美男」

それまでの「最長ブランクの完封勝利」記録は、「ミスター・タイガース」ことタイガースの藤村富美男が1937年4月16日に投手として完封勝利を挙げ、1948年7月5日に再び投手として完封勝利を挙げてつくった「4098日」だった。

藤村富美男は兵役を終えて職業野球に復帰した1943年は野手に専念したものの、1946年は三塁手として84試合に出場し、打率.323、5本塁打、69打点、一方、投手として23試合に登板して13勝2敗、防御率2.44で、先発した7試合のうち完投も4試合あるなど、まさに「投打二刀流」、しかも監督も兼任していたため「三刀流」の活躍であった。

その後、藤村は1948年には三塁手として136試合で出場し、投手でも6試合に登板して9年ぶりの完封勝利を挙げるなど2勝2敗、打撃でもチーム140試合すべてに出場し、打率.290、13本塁打、108打点で、打点王に輝いている。

「連続試合無完投勝利」記録は藤井秀悟がつくり、石川雅規が破った

藤井秀悟は同じ2013年4月27日、横浜スタジアムでの阪神タイガース戦で完投勝利を挙げるまで、ヤクルトに在籍していた2002年5月29日の巨人戦(神宮)で完投勝利を挙げて以来、107試合連続で完投勝利が無かった

この記録を破ったのが、藤井の同僚だった石川雅規である。

石川雅規は2015年4月25日、神宮球場での対巨人戦で完封勝利を挙げたものの、次の先発となった5月2日、神宮球場での対広島カープ戦から、2021年4月16日、甲子園球場での対阪神タイガース戦まで、足掛け6年、先発した124試合連続で完投勝利が無かった

2021年6月4日、神宮球場での対埼玉西武ライオンズ戦に先発登板、5回を被安打3、2奪三振、無四球、1失点に抑えると、5回裏のヤクルトの攻撃中に雨天コールドゲームとなり、ヤクルトが10-1で西武に勝利した。
石川は当時、NPB史上7人目、大卒投手では史上初となる「新人から20年連続勝利」を達成すると共に「完投勝利」が記録された。


石川雅規の場合、「連続試合無完投勝利」がストップした2021年の完投勝利も、今回の9年ぶりの完封勝利も、「コールドゲーム」に助けられた感はあるが、これも野球の一部である。

NPB史上最年長での完投勝利・完封勝利は山本昌

NPB史上最年長での完投勝利・完封勝利はもちろん、山本昌である。
2010年9月4日、ナゴヤドームでの対読売ジャイアンツ戦で、111球で完封勝利を挙げているが、この時、山本昌は45歳0か月であった。

石川雅規は悲願の通算200勝まであと「14」まで迫っているが、来季も現役続行であれば、まずは最年長での完投勝利・完封勝利の記録更新にも期待である。


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