ヤクルト・石川雅規、44歳4か月で完封勝利/史上10人目の40代完封勝利投手

東京ヤクルトスワローズの44歳のベテラン左腕、石川雅規が、「恵みの雨」で快挙を達成した。

6月2日、楽天モバイルパーク宮城での対楽天イーグルス戦に先発したが、5回コールドゲームとなり、石川は5回を無失点で投げ切っていたため、「完封勝利」が記録された。

石川は2015年4月25日、明治神宮球場での対巨人戦で完封勝利を挙げて以来、実に9年ぶりとなる完封勝利となった。

しかも、NPB公式戦で、40歳以上の投手が完封勝利を挙げたのは史上10人目で、24度目となり、石川はNPB史上2番目の年齢となる44歳4か月で完封勝利をマークしたことになる。


NPBで「40代完封勝利投手」は史上10人目、22度目、最年長完封勝利は山本昌の45歳0か月



40代投手の完封勝利第1号は、大阪タイガースの若林忠志

若林忠志は1936年の公式戦開始から大阪タイガースに所属し、1942年から投手兼任監督として活躍、2度も優勝に導いてきたが、1948年5月31日、阪急西宮球場で行われた対急映フライヤーズ戦に先発し、被安打2で完封勝利を挙げた。この時、40歳2か月であった。
翌1949年4月2日、シーズン開幕戦となった対阪急戦では「40代投手」として初の開幕投手となり、見事、完封勝利を挙げている。

なお、「40代投手」が開幕戦に先発登板したのは若林忠志の後に、村田兆治(1990年)、佐藤義則(1995年)、大野豊(1996年・1998年)、石川雅規(2020年)と4人が5度、経験しているが、勝利投手になったのは若林忠志と村田兆治だけで、かつ完封勝利を挙げたのは若林忠志のみである。

その後、若林は完封勝利を積み上げ、毎日オリオンズに移籍した1950年11月12日、藤井寺球場での対近鉄バファロー戦で完封勝利を挙げた。
この時、42歳8か月で挙げた完封勝利が自身最後の完封勝利となったが、40代で計9度も完封勝利をマークしている。

若林は16年のプロ生活で、シーズン20勝以上を6度、シーズンMVPを2度、受賞し、1953年オフに通算237勝の成績を残し、45歳で現役を引退している。

村田兆治 40歳7か月、40歳10か月(2度)

その後、「40代投手」の完封勝利は長らく現れなかったが、ロッテオリオンズの村田兆治が1990年8月24日、西武球場での対西武ライオンズ戦で1-0で完封勝利を挙げた。
この時、村田は40歳7か月で、1950年の若林忠志以来、40年ぶりとなる「40代投手による完封勝利」を挙げた。

村田は引退登板となった10月13日、川崎球場での対西武戦でも5回コールドゲームながら完封勝利をマーク、通算215勝目を挙げて、現役に別れを告げた。

佐藤義則 40歳11か月

その後、オリックスブルーウェーブの佐藤義則が1995年8月26日、藤井寺球場での対近鉄バファローズ戦で、40歳11か月という、当時、NPB史上最年長でノーヒットノーランを達成した。

大野豊 40歳0か月、40歳9か月、41歳1か月(3度)

同じ年、1995年9月13日には広島カープの左腕・大野豊が広島市民球場での対横浜ベイスターズ戦でNPB史上4人目となる40代での完封勝利を挙げた。
大野は翌1996年5月10日の対横浜戦(広島市民球場)では40歳9か月、1997年4月30日の対中日ドラゴンズ戦(ナゴヤドーム)でも41歳1か月で完封勝利を挙げており、40代では計3度、完封勝利をマークした。

工藤公康 40歳3か月

5人目は、読売ジャイアンツの左腕・工藤公康で2003年8月20日、東京ドームでの対横浜ベイスターズ戦で40歳3か月で完封勝利。

山本昌 41歳1か月、41歳8か月、45歳0か月(3度)

6人目は中日ドラゴンズの左腕・山本昌で2006年6月に40歳10か月で完封勝利を挙げ、同じ年の9月16日、ナゴヤドームでの阪神タイガース戦で41歳1か月という史上最年長でノーヒットノーランを達成した。
山本昌は2007年4月17日、対阪神戦でも41歳8か月で、2010年9月4日、ナゴヤドームでの対巨人戦でも、若林忠志の42歳8か月を抜いてNPB史上最年長となる45歳0か月で完封勝利を挙げており、40代では計4度、完封勝利をマークした。

下柳剛 40歳11か月

7人目は阪神タイガースの左腕・下柳剛で、2009年5月12日、甲子園球場での対広島戦で完封勝利を挙げたが、この時、40歳11か月であった。
「40代投手」による「1-0完封勝利」は、若林忠志、村田兆治に次いで3人目である。

黒田博樹 41歳1か月

8人目は広島カープの右腕・黒田博樹で、広島からMLBにFA移籍し、ロサンゼルス・ドジャース、ニューヨーク・ヤンキースに所属していたが、2015年オフに帰国して広島カープに復帰、2016年4月3日、マツダスタジアムでの対巨人戦で41歳1か月で完封勝利を挙げた。

山井大介 40歳

9人目は中日ドラゴンズの右腕・山井大介で、40歳を迎えてすぐの2018年5月22日、横浜スタジアムでの対横浜DeNAベイスターズ戦で完封勝利を挙げた。

40代完封勝利投手9人のうち、通算200勝達成は5人


石川雅規よりも前に、40代で完封勝利を挙げた9人のうち、若林忠志、村田兆治、工藤公康、山本昌、黒田博樹の5名が通算200勝を挙げている(黒田博樹は日米通算)。

石川も通算200勝クラブまであと「14」と迫っており、今回の勝利で弾みをつけたい。






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