VBLについて故新井さんが2005年に語っていたこと

[無料]厳冬期の雪山でも手を暖かくするVBLよもやま話

ジオグラフィカの松本さんのブログでVBLについての解説があった。私はVBLは試したことはないけど、2005年に新井さんの講演会で聞いてこんなレイヤリングがこの世にあるのか?とぶっ飛んだ記憶がある。そのメモを記録かねて再掲しておきます。いま読み返しても20年前にこういうことを考えて実践していたとは驚く。昔、こんなに創造的な人がいたのが後世に残る一助になれば。


山ボ研 装備編
2005年10月02日 


山ボード研究会の集まりへ。ROCK AND SNOW誌でハードコア人体実験室なる連載をしているアライさんが講師。ロクスノでの連載も薬だらけでやばくておもしろいですが今回は冬山装備の軽量化がテーマ。 アライさんは鹿島槍北壁をスキーで滑降したりするエクストリームなスキーヤでクライミングもナショナルコーチ。 あまりにハードコアでマニアックすぎてレベル高すぎて・・・俺のレベルでは参考にならない話しも多かったのだが「世の中の定番アイテムでも疑う。鵜呑みにしない。自分で試し工夫する。自作も辞さない。」が大事みたい。

以下、脈絡がないけど講演のメモ。

1.でかいものを軽量化。小さいものを軽量化してもかるくなる重さが限られている
まずはザック。最近のザックは快適装備もあって担ぎやすいけど重くないか?1キロ以上のザックが多いが昔のひとはキスリングでフレームなしで登っていたわけでパッキング技術があればフレームレスの軽いザックを使える。ザックのフレームのように他に代用できないものは軽量化対象。 たとえばアライさんの場合はゾンデ棒とマットをフレームかわりにしてるそうな。
2.持って行って使わなかったものはほんとにいるのか?代用品はないのか?を考える
一度もっていって使わなかったものは、万が一にそなえてまたもっていくのもいいが、軽量化を目指すならば切り捨てたり代用品を探したりすることを考える。たとえば。
3.自分の体と神経の訓練しだいで軽量化できる
昔の人は道具が粗末でも大丈夫だった。訓練次第で寒さに強くなれる。肉体限界と神経限界は違う。たいてい神経限界のほうが低い。まず神経が寒さに耐えられなくなるわけだが鍛えれば神経限界を肉体限界の先に持っていくことも可能。アライさんの場合はやりすぎて肉体限界をこえて凍傷になってるのに神経が気が付かなくてやばいときがあったそうな。寒さに強くなると服やシュラフの軽量化ができるのででかい。アライさんはアラスカにいったときも夏用シュラフですごしたそうな…
4.保温。脂肪がないところから冷える。抹消より体幹部を優先
脂肪がなく血管がむき出しのところから体が冷えていく。とくに頭部と首と顔。雪山のテント泊のときは立体マスクに穴をあけて結露防止をして使うと顔があったかい。 手足の防寒でゴム手袋は見直していいのでは?蒸れ蒸れになるが、ウール&ゴム手袋の組み合わせは完全防水なので何かと便利。雪洞やピットチェックのときに便利。 予備装備全般にいえるがメイン装備と違うものを持っていくほうがいい。たとえばメイン装備が普通のゴアテックスの手袋ならば予備は完全防水のゴム手袋にするとか。5本指手袋がメインならば予備は3本指のミトンにするとか考えてみる。 手や足の汗は凍傷につながるので汗をとめたい箇所。塩化アルミニウム溶液をかけると汗腺自体を1週間くらい埋めてくれるのでその部分は汗をかかなくなる。
5.テント内の装備
マットは非常に重要。シュラフよりマットに金をかける。空気の対流が防げるものを探そう。クローズドセルがいい。 ストーブ。日帰り装備ではガスストーブという固定観念ではなくアルコールストーブも考えてみたら?。超軽量。
6.食事
いっぺんに食べると消化のために体力を使う。流動性のものをちょっとつづ食べる。ハイドレーションシステムはとっても理にかなっている。 スイスの山岳兵は脂肪を食べるそうな。油は1グラムで9キロカロリーもある。ただし訓練しないと消化不良を起こすのでしばらく油を飲む生活をしてから本番で使うこと。 アミノ酸はしっかりとる。とくにBCAA。アミノバリューWとか。アミノ酸は日本で買うと高いのでUSから通販で買うとめちゃ安い。またプロテインもUSから直輸入すると味もよくて安い。
7.コネタ
リチウム電池に限る。アルカリ電池は氷点下になると溶液が凍りパワーが出ない。GPS,ラジオ、ケータイ、ビーコン、無線だが電池を統一しよう。 GPSもGEKOのような低エンドモデルでも緯度経度さえ出ればマップの緯度経度線を事前にいれていれば使える。 スリングは8mm幅だとクライミングやボードの牽引くらいにしかつかえないが4mm幅でのものを使えば、いろんな穴に通したりできるので緊急用途に使える幅が広がる。同じ装備ならば多用途に使えるものを。 アイゼンはアルミで十分。前爪一本でクライミングはできないけどそもそもソフトブーツでそんなことはできないし、なによりも氷壁にボードかついで登らないでしょ。 保冷剤をアロマドリップコーヒーのミニ缶にいれて持っていく。お湯であっためると一晩中あたたかいカイロになる。服や手袋を乾かすときに手袋の中などににほうりこんでいると乾く。 ストーブの火でかわかすのは燃料の無駄なのでアイロンの原理であたためるように。たとえばコッヘルにお湯をわかせてコッヘルでアイロンにするとか。 車用の化繊のタオルがあると吸収がいいのでテント内で便利 ガスライターは小型のほうが内圧が高いので標高の高いところでも大丈夫。 スコップ。スコップのシャフトをピッケルにしている。スコップのシャフトはシャフトにしかならないけど、こういったものが多用途なもので代用できないか工夫する。

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