見出し画像

きみが教えてくれた




2023年、冬の某日。

普段と変わりないごはんの支度中に
ごろりと転がってるアボガドの種を捨てようとして、ふと
アボガドの種を水につけておくと発芽する、と聞いたことを思い出した。


なんとなく、
(ほんとに芽がでるのかな。)
と好奇心がわいてきて、
プランター用の土が余っていたし、
やってみることにした。


キッチン栽培よりベランダのほうがスペースに余裕があったから鉢に植えることにして、
土づくりだとか肥料だとかは気にせず、ただ埋めた。


気づいたら芽が出て葉っぱは伸びてきて、
水やりも日当たりのいいところに置くことにも気をつけていたけれど
ある一定のところからそれ以上は大きくならず、

(やっぱり、埋めて放置だけじゃだめかあ...)
と思いつつ、とりあえずそのまま観察していた。

次にめぼしいなにかを見つけたら、
植え替えようと思っていた。

種を埋めてから数ヶ月たち、
季節は変わり桜が散っていったころから、
それまで(スン...)と鳴りを潜めていたアボガドは急にむくむくと成長し始めた。

おや?と見守っていると
その間にも新しい葉が出てくる。

さわってみると柔らかくて、
つやっとした光沢があり、美しいなあと思った。

冬の間は
(これ以上はむりですぅ...)と言うように侘しい姿だったのが
気温が上がるにつれて活き活きとしはじめたのを見て、

(成長に適した環境って、あるよなあ)

などとしみじみ思う。


生きる力は標準で備わっていて、
あとは環境次第なんだなあ、と。





今年は夏野菜を育ててみようと考えていた。
収穫して食べたいという気持ちもあるけれど、
単純に(どうなるのかなー)という好奇心のほうが大きく、いうなれば“マンガの続きが気になる感覚"みたいなもので、

(実がならないなら、それはそれで。)
と思っていたのだけど。


よくよく考えてみたら人間だって、
貧血の人は鉄分をしっかり摂らないと良くならないし、筋肉をつけたいならタンパク質を摂らないといけない。


適した土壌と、栄養と。


そういうものを吸収して、
育って花が咲き、そして実がなるのだ。

よろしければサポートお願いします。 いただいたサポートは、文字書き活動費用に使わせていただきます。