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雨とズボンとおべんとう 【0円生活2日目】

"Tuesday"
(退屈そうに。死んだ魚の目をして)

まだ、モモコは数字を英数字で書くか漢数字で書くか決めかねている。

(白川通、まんぷくおにぎり米都にて)
モモコの今日は、面接から始まる。といっても、11時半に昨日のおべんと屋さんに行き、社長さんと面接担当の方と話し、制服を受け取ったら終了だった。前回と同様2階に案内され、机を挟んで面接担当の女性の向かいに座る。女性がノートのページのような紙とペンを持ってくる。

(女性、笑顔は優しいが動揺を隠せない様子で)
「だいたいH(社長さん)から話はきいたんですけど、、、」
また前回と同様、〇円生活の話をする。神戸での話や、京都に来てからどんなふうに過ごしているか。話し終わると隣から社長さんが、
「明日から来るねんな?12月10日まで。うん、まあそういうことで」
と一言。面接の女性は、A4くらいの紙の端に「11/30~、朝8:30」とだけ書いた。帰り際、おにぎりとお弁当をくれた。
「好きな食べ物ある?魚?ああ、だから魚屋で働いてたのね!」
晩ご飯にお弁当を食べた、素晴らしく美味かった。

(モモコ、家に帰ってくる)
ただ、モモコは一つだけ、明日のアルバイトのスタートまでにしなくちゃならないことがあった。それは、、、

(暗転、のち、モモコの顔が下からライトで照らし出される)
黒いズボンをゲットすること。

実はおべんと屋さんで、「どうしても無理だったらいいんだけど、ウチは黒いズボン履いてもらっててね。ワタナベさんも、あれば履いてきてね」と言われていたのだった。困った。昨日もおべんと屋さんを後にして、神戸の春夏百貨店のような「ご自由にお取りください」のスポットがないかと探し回ったが、見つからなかった。
しかし、世の中はモモコが思う以上にうまく回っていた。昨日の公園のおじちゃんにおにぎりをおすそ分けしに行ったとき、黒いズボンの話をしたら、なんと、ちょうどよいぬばたまのように黒いズボンを譲ってくれた。そしてなんと奥さんにも会ってしまった。にこにこと優しい、ステキなご夫婦だった。
(モモコ、今度こそスキップして家に帰る)

そういえば、神戸での〇円生活のときも黒いズボンが必要になって困ったことがあったことを、モモコは思い出した。
雨降りの一日だった。例に漏れず、今日という雨降りの日もよい一日だった。モモコはシェアメイトのジャスパーと晩ご飯をシェアしながら、「やっぱ雨の日サイコーやな」と話し、もうすぐ眠りにつく。明日から始まるおベんと屋さんでのアルバイトに備え、しっかりと睡眠をとるのであった。



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