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【衣食住の住2】イゴコチが悪い!

西村組と出会ったその次の日、西村さんと一緒にトラックに乗っていた。冷房をかけていない車内は暑い。隣で西村さんはくねくねと腰を揺らしている。ああこのトラック、運転しにくいんだな。運転免許を持っていない自分にも、このトラックの年季の入りようには気付かざるをえなかった。

「家の居心地はいいですか?」

運転席で居心地悪そうな西村さんがふと尋ねた。

「実家ですか。どうですかね、あんまり家の居心地とか考えたことないです」

「ははは」

小籠包が入ったセイロみたいな車内に、西村さんの湿度20%くらいの笑い声。西村さんの笑いのポイントは分からないな、と私は思う。

小学校4年生くらいの時、担任の先生が「みんなの居場所はどこですか?」と訊いた。そのとき大真面目に「地球です」と答えたらめちゃくちゃ笑われた。「ワタナベさん、それは居場所じゃなくって住んでいる場所です」と先生。でもなんて答えたらいいんだろう、住んでいる場所はどこでも居場所がいいと感じていたら。昔から、そこに自分が存在するイコール、居心地がいい・居場所があると思っていた。だから居心地について、西村さんの質問を受けて初めてきちんと考えた。

(労働という形で払ってはいるものの、)家賃光熱費を払わないいわゆる「0円ハウス」に11月半ばから住んでみて、0円で生活することとパーソナルスペースを持つことの関係について考えている。たとえば路上生活者は、屋根があって壁で仕切られた「自分の部屋」がない。ではパーソナルスペースが全くないのか?たとえば今私が住んでいる0円ハウスでは、3畳ほどの「自分の部屋」をもらってそこに服や私物を置かせてもらっている。でももう一人のシェアメイトや現場で作業する大工さん、西村組のバイトの人たちがいつでもリビングルームやトイレ、キッチンを出入りする。ある意味他人がそばにいるかいないかを選べない環境。それはパーソナルスペースが確保されているのか?

また「家」ってなにか、よく考えている。家を必要とするニンゲンって動物や虫に比べて弱いなー、とか、そこに住むために家賃や土地代を払わなきゃいけないって変だなー、とか、家を構成する最低限の要素ってなんなんやろう、とか、とかとか。0円になってから、家族と思える/思ってくれる人が一気に広がって、今まで以上にどこでも家に感じられるようになった。図々しい話だ!でもお金でカットしていた(できていた)ものの一つに、こういうつながりやすさがあるのかも。いつも一緒に家を直している西村さんは、鳥やビーバーの巣みたいに寄せ集めの家が好きだ、と言っていた。家も寄せ集めなら、その中の家族も寄せ集めだ!寄せ集めの街で、寄せ集めの家で、寄せ集めの家族と暮らすのが私はとても好き。それは0円生活を始めてから学んだ、ちょっと意外な自分の一面だと思う。

みなさんはどんな家、家族が好きですか?みなさんにとって「家」ってなんですか?note、コメントできるみたいなんでお寄せくださいー。ま、次会ったときに話してくれてもいいけど。

(写真は、今の部屋・北極点に住み始めた頃、畳を入れた時の。幅が足りなくて斜めになっている)

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