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シェイクスピアのバラたち。~戯曲の中のバラと登場人物の名前を冠するバラ~②

ウィリアム・シェイクスピアの戯曲の中で、四大悲劇のひとつとされる『ハムレット』。主人公ハムレットが、デンマーク王である父を叔父(父の弟)に殺され、王位と母を奪われ復讐するという、全五幕の壮大な物語だ。
ハムレットの妃候補だったオフィーリアの哀れな末路も、物語の悲劇性を高めている。

オフィーリアは愛するハムレットに父親を殺され、ハムレットから冷酷な言葉を投げかけられたことから、次第に正気を失っていく。そのオフィーリアを前に、彼女の兄が嘆くセリフが印象的だ。
「おお5月のバラよ
愛しい乙女、
やさしい妹、
可愛いオフィーリア」
わが国にあって5月はバラの最盛期だが、イギリスでは5月に咲くのは早咲きの野生のバラで、開花後1~2日で花びらを散らす。その儚さが、オフィーリアのイメージに重ねられている。
バラ’オフィーリア’は野バラではないが、清楚な花姿がいかにもオフィーリアといった風情だ。

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