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奏泉寺由子    ~撮影ノオト~

バリ島の工房から。

ある時、インドネシア、バリ島から椰子の実の油が届いた。染色家・キルト作家、秦泉寺由子の工房からだ。10年近く、夏になるとバリ島の彼女の工房を訪ねていたが、その年はそれが叶わなかった。彼女の自家製の椰子油を愛用していた私にとって、嬉しい贈り物だった。

工房の様子を綴った便りが添えられていて、すぐにでも熱帯の風景の中に身を置きたい、そんな思いにとらわれた。

秦泉寺由子に初めて会ったのは、1999年。絹の白い生地に青竹で白色を染めた、という布を見た瞬間、その神々しいまでの白に心を射抜かれた。

布が誕生する現場に立会いたいと、すぐさまバリ島へ旅立った。そこで私が魅了されたのは、青竹染めの素晴らしさと同時に、彼女の暮らしぶりだった。

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