井津建郎写真展「祈りのかたち」から、オリジナルプリントの醍醐味。
先週の日曜日、ルーニィ247の井津建郎展「祈りのかたち」を拝見した。映画の編集がなんとか一段落し、編集室からの帰り道に立ち寄った、久しぶりの写真展。
ブータンのポートレイトは折につれ写真集『BHUTAN』を開いているが、超大型カメラで撮影されたプラチナプリントで見る作品は、また格別。そこに在る人々の透明なまなざし。長い時間、祈ることの気配が堆積した空間。人と空間のアウラがそのまま写し込められている。
写真は目に見えるものを写すが、醍醐味は目に見えないものをそこに見出すことだ。人の存在感や、ものの気配、空気感、においなど、五感や第六感を刺激する諸々。瞬間を切り取ったものだが、そこには悠久の時が流れ、無限に広がる世界が存在する。写真は平面体だが、時間と空間で成り立つ立体作品でもある、というのが私の持論だ。
この日はルーニィのディレクターの篠原俊之さんが、展示作品以外のプリントを公開するという時間に間に合うように出かけた。グレーの保存箱から、作品を一点ずつ取り出して、数人の観客に披露する。展示作品はアクリルの額に収まり、それなりに立派に見えるが、照明や鑑賞者の姿が映り込むという難点がある。生のプリントはそうした反射から解放されて、密かに息づいているように見える。
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